ラッセンとミュシャ?

「世間一般と同じくミュシャが人気なのか」と大野左紀子さんは書いている*1。えっ? と思い、調べてみたら、今年日本では2つのミュシャ展――『ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展』*2と『知られざるミュシャ展』*3――が開かれているわけだ。
さて、


歴史修正主義・・・・・・とあんまり関係ないかも知れないけど、取り敢えず、ラッセンの「ニューエイジ」の雰囲気とか適当に。」http://d.hatena.ne.jp/houyhnhm/20130905/p5


「 ええと、最近ミュシャ展行った」というセンテンスから始まっている。この方、ミュシャ*4ラッセン*5との接点を何とか求めんと考え倦ねている。考えれば考えるほど、ミュシャくちゃもとい無茶苦茶になり、本人も(読者も)もういいや! という感じになっている。理屈を捏ねようとすると行き詰まるのであって、感性の準位に踏みとどまれば、(ミュシャラッセンは)両立不可能! ということで終わり。ミュシャの絵ってワインや麦酒のラベルに使われたことがある筈だが*6ミュシャの絵を使った麦酒は飲みたいと思うけれど、ラッセンの絵を使った麦酒なんて飲みたいとは思わない。そういうことなのだと思う。
ミュシャは多分美術史に組み込まれていると思うんだけど」という。現在の日本における語られ方はわからないけれど、ミュシャ、特に巴里時代のミュシャはあくまでもアール・ヌーヴォーという運動というか潮流の一部として語られていたのであって、そのような文脈を捨象してミュシャ単独で語られるということはあまりなかったように思う。「美術史」云々ということだけど、狭義のアール・ヌーヴォーということでも、或いはアントニオ・ガウディやウィーンの分離派やウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動も含めた広義のアール・ヌーヴォーということでも、〈工藝〉を排除して存立したところの狭義の「美術史」*7には収まりづらいのかも知れない。切り離されてしまったアートとクラフトというか美術と工藝を再び接合しようとした運動であり、その主力は狭義の「美術」よりもデザインや建築の方にある。ところで、アール・ヌーヴォー云々といいつつ、海野弘*8のアール・ヌーヴォー本も碌に読んでいないのだった(汗)。読んだ数少ない本の中から、広義のアール・ヌーヴォーに関するものとして、『世紀末の街角』をマークしておく。また『現代美術 アール・ヌーヴォーからポストモダンまで』という本もあったな。

ミュシャに戻ると、彼が死んだのは1939年。奇しくも泉鏡花が死んだのと同じ年*9

NHK問題(J-CASTニュース)

J-CASTニュースの記事;


NHK経営委員に仰天「安倍人事」 百田尚樹長谷川三千子氏ら「保守派論客」メンバー
2013/10/25 19:07



国会同意人事のひとつであるNHK経営委員にも、「安倍カラー」が強く反映されることになりそうだ。安倍内閣が2013年10月25日に提示した人事案に含まれていたのは、作家の百田尚樹氏をはじめとする「保守派」色の強いメンバーだ。

その中には、12年9月の自民党総裁選で安倍氏の立候補を求めた人や、かつての安倍首相の家庭教師もいる。「お友達人事」として早くも批判が出ており、菅義偉官房長官が火消しに走る事態になっている。

05年には、安倍氏従軍慰安婦をめぐる番組でNHKに圧力をかけたと朝日新聞が報じ、NHK安倍氏が否定する騒動もあった。こうした経緯があるだけに、安倍首相の意向が強く反映された今回の人事案で、政権とNHKの緊張関係も先鋭化しそうだ。
経営委員会が会長の任命権を持っている

経営委員会はNHKの最高意思決定機関にあたり、執行部トップの会長を任命する権限を持っている。会長の選任には、定数12の経営委員のうち9人以上の同意が必要だ。松本正之会長は14年1月に任期満了を迎える予定で、今回の人事案が次期会長の人選に与える影響は大きい。

経営委員長は経営委員の互選で決まることになっており、13年7月に浜田健一郎・ANA総合研究所会長が再任されたばかりだ。

今回の人事案では、デビュー作「永遠の0」などで知られる百田氏以外に、哲学者の長谷川三千子氏、海陽学園海陽中等教育学校長の中島尚正氏、日本たばこ産業(JT)顧問の本田勝彦氏を新任。13年12月で任期が切れるJR九州会長の石原進氏を再任する。

10月25日夕方に開かれた菅官房長官の会見では、新任される4人のうち3人が安倍首相と近い関係にあることが指摘され、菅長官は釈明に追われた。

まず、百田氏と長谷川氏は「2012年安倍首相総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人に名を連ねている。安倍首相と百田氏は雑誌「WiLL」12年10月号に続いて 13年10月号でも対談したばかり。13年10月号では、安倍首相が

「以前から私も百田さんの小説の愛読者でしたから、百田さんのような方に『もう一度、自民党総裁選に出馬して総理を目指してもらいたい』とおっしゃっていただいたことは、本当に勇気づけられました」

と感謝の言葉を述べるほどだ。百田氏は、いわゆる「自虐史観」を一貫して批判している。
http://www.j-cast.com/2013/10/25187271.html

長谷川氏は婚外子相続めぐる違憲判決を批判

長谷川氏も保守派の論客として知られており、例えば非嫡出子が相続できる遺産が嫡出子の半分になる民法の規定を違憲だとした最高裁判決を、

「国連のふり回す平等原理主義、『個人』至上主義の前に思考停止に陥った日本の司法の姿を見る思いがします」(2013年9月12日、産経新聞「正論」)

と批判している。会見では、

「長谷川氏は女性の社会進出に否定的な発言をしている。これは総理が目指す、女性の社会進出を目指す政策と、果たして一致するのか」

という批判も出たが、菅官房長官

「大変な活躍をしており、まさに自立した女性のひとつの代表的な方なのではないか」

と苦笑いしながら強弁した。
http://www.j-cast.com/2013/10/25187271.html?p=2

官房長官「自分がよく知っている人でないと推薦できないというのは当然」

本田氏は、安倍首相が小学生だった1960年代に家庭教師を務めていたことで知られている。その後任の家庭教師が平沢勝栄衆院議員だ。

この人事の「お友達」批判には、菅官房長官は「それはまったくない」と断言。

「(人事案を)自信をもって推薦するというのは、やはり自分がよく知ってらっしゃる方でないと、なかなか推薦できないというのは当然のこと」

と述べ、安倍首相との距離の近さを正当化した。

経営委員会の定数は12だが、13年8月に日本ガイシ元社長の松下雋(しゅん)氏が、オムロン出身でルネサスエレクトロニクスの会長兼最高経営責任者(CEO)の作田久男氏が9月にそれぞれ退任したため、現時点では10人で構成されている。13年12月には3人が3年の任期満了を迎えることになっており、今回の人事案にあるように石原進氏が続投。香川大学名誉教授の井原理代(みちよ)氏、東北大学大学院経済学研究科教授の大滝精一氏は退任する見通し。退任する井原氏は08年には「男女共同参画社会づくり功労者」として、福田康夫首相(当時)から表彰されていた。
http://www.j-cast.com/2013/10/25187271.html?p=3

「人事」以前に現職の内閣総理大臣が『WILL』なんて雑誌に登場していることが問題だろう。これによって、NHKが直ちに〈日本歴史否定協会(NRHK)〉になったり「あべぴょん」マンセー放送局になったり、ということはないだろう。但し、歴史修正主義を批判したり体制をおちょくったりする企画に、(自己規制も含めて)フォーマル・インフォーマルな圧力がかかるということはあるのだろう。
そういえば、NHKは〈国営放送〉という言葉にとても敏感なのだった。
百田尚樹にはhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130625/1372115074で、「海陽学園」についてはhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060408/1144471534 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060411/1144754380で言及している。

Hal Needham

『読売』の記事;


キャノンボール…米映画監督ニーダムさん死去

 AP通信によると、米映画監督のハル・ニーダムさんが25日、ロサンゼルスで死去した。

 82歳だった。

 1960年代にスタントマンとして活躍。監督としては、映画「トランザム7000」(77年)、「キャノンボール」(81年)などのヒット作で知られる。

 2012年に米アカデミー賞名誉賞を受賞した。
(2013年10月27日10時48分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20131027-OYT1T00301.htm

また、LA Timesの記事;

Hal Needham, veteran Hollywood stuntman and director, dies at 82



By Steve Chawkins This post has been corrected. See note below for details.

October 25, 2013, 3:39 p.m.

Hal Needham, a highly regarded Hollywood stuntman and director of frothy, adrenaline-pumped films like "Smokey and the Bandit" and "Cannonball Run," has died. He was 82.

Needham died Friday in Los Angeles, according to his business managers at Laura Lizer and Associates. No other details were immediately available.

Born in Memphis, Tenn., Needham spoke with a down-home twang.

He was a fixture in the movie business for most of his working life. In a stunt career that spanned hundreds of TV episodes and feature films, he tumbled down cliffs, leaped off boulders, jumped from planes, tottered off balconies and plunged from towers. He was rattled in blasts and blistered in fires. He broke 56 bones, including, twice, his back. He punctured a lung, damaged his hearing, lost a few teeth and was knocked out countless times but maintained a sunny outlook even after swooping into the unknown territory of directing.

If it doesn’t work out, he told an interviewer in 1979, "I can go back and fall on my head any time."

The son of sharecroppers, Needham spent most of his childhood so deep in the Ozarks, as he liked to joke, that "you had to pump the sunshine in." Dropping out of school after eighth grade, he worked as a tree trimmer in St. Louis before joining the Army’s 82nd Airborne Division in 1951. Three years and many jumps later, he left the service and headed west with three pairs of jeans, six T-shirts, a buddy and no particular plan.

"I knew I wasn’t qualified to be a brain surgeon and I figured I would have to do something dangerous to make money," he wrote in his 2011 memoir, "Stuntman! My Car-Crashing, Plane-Jumping, Bone-Breaking, Death-Defying Hollywood Life."

In 2012, Needham received a Governors Award from the Academy of Motion Picture Arts and Sciences. The academy, which gives no Oscars for stunt work, cited Needham as "an innovator, mentor and master technician who elevated his craft to an art and made the impossible look easy."

A full obituary will follow at latimes.com/obits.

[For the Record, 4:35 p.m. Oct. 25: This post originally said that Needham was given a Motion Picture Academy Governors Award this year. The award was given in 2012.]
http://www.latimes.com/obituaries/la-et-mn-hal-needham-director-stuntman-dies-20131025,0,5895908.story#axzz2iswg0UqQ

トランザム7000』や『キャノンボール』のシリーズはまさに映画そのものであった。車(人)が走る(移動する)、そして障壁が現れ、その障壁を乗り越えてまた走る(移動する)。Moving picture(活動写真)そのものだ。ところで、『キャノンボール』って香港資本だったんだね*1。だからジャッキー・チェンや許冠文(Michael Hui)が出ているわけだ(しかも日本人役で)。
キャノンボール デジタル・リマスター版 [DVD]

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キャノンボール2 [DVD]

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See-through(Memo)

Hadley Freeman “Transparent blouses – how to wear them in the real world” http://www.theguardian.com/fashion/2013/oct/21/transparent-blouses-how-to-wear


ブラウスがシースルーなのはヴェストを売るためのアパレル業界の陰謀という話。さて?
そういえば、ジェームズ・ブラッド・ウルマー*1に”See-Through”という曲があるな*2。ところで、何故か知らないけれど、”See-Through”という曲、オ−ネット・コールマン*3の曲だと記憶していたのだった(orz)。 

アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・イン・アメリカ?

アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・イン・アメリカ?