川上未映子『春のこわいもの』

川上未映子『春のこわいもの』*1を読了したのは先月の末。


青かける青
あなたの鼻がもう少し高ければ
花瓶
淋しくなったら電話をかけて
ブルー・インク
娘について

世界が一変してしまったあの春、私たちは見てはいけないものを覗きこんでしまった――。もてるものと持たざる者をめぐる残酷なほんとう。死を前にして振り返る誰にも言えない秘密。匿名の悪意が引き起こした取りかえしのつかない悲劇。正当化されてゆく暴力的な衝動。心の奥底にしまい込んだある罪の記憶。ふとしたできごとが、日常を悪夢のように変貌させていく。不穏にして甘美な六つの物語。
なお、「春のこわいもの」という短篇はない。