NHKの報道;
いくら「 キラキラネーム」と雖も、ここに挙げられたような逸脱は現存するのだろうか。正反対の意味のルビというレトリックは、確か筒井康隆の小説の中で見たことはあるな。あと、「獅子」と書いて「れお」と訓ませる人は見たことがあり、こうした漢字の本来的な音訓からは全く外れているけれど意味としては全く合っているというケースに対する法務省の見解はどうなのだろうか。また、わからないのは現在既にあって、将来増えるんじゃないかと思う〈多様〉についてだ。漢字というのは〈日本語〉に限定されるものじゃない。漢字には、例えば韓国語読み、マンダリン読み、福建語読み、広東語読み、ヴェトナム語読みその他がある。例えば、〈香〉という名を〈かおり〉じゃなくて〈しゃん〉とか〈ひょん〉と届けたら、OKなのかどうか。
戸籍氏名の読みがな 判断指針 “キラキラネーム”など多様化で
2025年2月14日 19時37分
戸籍の氏名に読みがなをつける運用がことし5月から始まるのに伴い*1、法務省は、出生届などの際に読み方として認められるか、判断するための指針をまとめました。
「太郎」を「マイケル」や「健」を「ケンサマ」とするなど、関連性が全くみられないものは、社会を混乱させる懸念から認められないとしています。戸籍の氏名には、これまで漢字などしか記載されてきませんでしたが、行政のデジタル化の一環で読みがなをつける運用が、この5月から始まります*2。
これに伴い、いわゆる「キラキラネーム」*3など名前の多様化も踏まえ、出生届などの際、読み方として認められるか、自治体が審査するしくみも導入されることになっていて、法務省が、判断の指針をまとめました。
この中では、▽桜良「さら」や▽彩夢「ゆめ」といった一般的に名前に使われる漢字で、それぞれ関連性がみられるものなどは、読みを省略するケースも含め、広く認められるとしています。
一方、▽「太郎」を「マイケル」や「ジョージ」と読ませるなど、関連性が全くないものや、▽「健」を「ケンサマ」や「ケンイチロウ」とするなど、明らかに関係ない別のことばを加えたりするケースに加え、▽「高」を「ヒクシ」とするといった反対の意味の読み方などは、社会を混乱させる懸念があり、認められないとしています。
また、▽差別的、卑わいなものや、▽反社会的で、明らかに名前としてふさわしくない読み方も認められないとしています。
法務省は、この指針を3月に全国の関係機関に通達として出し、周知を図る考えです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250214/k10014722371000.html
私の意見としては、一方で「社会を混乱させる懸念があり、認められない」という多様性も含めて肯定する一方、方便として名まえに使われる漢字は日本政府が全て音読み(漢音)として管理するということにする、ということだ。漢音にすれば、一元的に管理可能だ。
さて、「 キラキラネーム」は漢字の本来の読み方から逸脱した名前だというけれど、そもそも人名における漢字はその本来的な訓からずれている。頼朝とか実朝とか、「朝」を「とも」というのは人名に限られる。この方が身近かも知れないが、和子とか一夫のように、「和」や「一」を「かず」というのは人名だけだろう。なので、人名は音読み(漢音)でも世間的にはOKだった筈だ。ハクブン(伊藤博文)、ユウホウ(山形有朋)、ブヨウ(榎本武揚)、リュウメイ(吉本敬明)など。「西郷隆盛」は実は「西郷隆永」であって、「隆盛」は確か叔父の名。これは明治維新後に戸籍を作ったときに、口頭でリューエーと言ったのを役人がリューセーと聞き間違えて、それを「隆盛」と漢字変換してしまったという。音読みで人名をいうのが間違いだと見做されるようになるのは何時頃からなのだろうか?
安藤恭子「「キラキラネーム」来年から規制? 改正戸籍法で新たに「基準」 氏名の振り仮名を巡りトラブル多発の予感」https://www.tokyo-np.co.jp/article/312748
曰く、
絶対に「正確」に読んでほしいなら、漢字を諦めるしかないだろう。「真一」を漢音で訓んで「しんいち」になるのはごく自然なことだろう。別に世間一般や役所がそう訓んでもかまわないと思う。それを何故「間違えられる」と青筋を立てるのか?
改正戸籍法はマイナンバー関連の法案と併せて国会で審議され、昨年6月に成立した。来年5月ごろをにらむ施行に合わせ、本籍地の市区町村が振り仮名の届け出受け付けを始める。届け出には郵送や、マイナンバーカードの専用サイト「マイナポータル」を使う。
届け出を促すため、市区町村は住民票などで把握してきた氏名の読み方を参考として、全国民に郵送で通知を送る。通知は同一住所にいる世帯ごととし、姓は戸籍の筆頭者、名は本人が届け出る。1年以内に届けがなければ、自治体の職権で振り仮名を戸籍に転載することになる。
これに対し「勝手に改名されてしまうかもしれない」と心配するのが、静岡市のライター澤田真一さん(39)だ。
真一は「しんいち」ではなく「まさかず」と読むが、初対面の人からは「一度も正確に名前を呼ばれたことがない」。もちろん「まさかず」で届け出るつもりだが「これほど重大な変更を、多くの国民が知らないのは広報不足。よほど厳しいチェック体制がないと、また間違えられるのではないか」と心配する。
*1:See 植村信介「「太郎」と書いて「マイケル」は受理せず…戸籍法改正要綱案でキラキラネームに制限」https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230202-OYT1T50192/
*2:https://www.moj.go.jp/MINJI/furigana/index.html
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070906/1189061438 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071017/1192588766 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090718/1247899601 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101205/1291560890 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101230/1293684644 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111028/1319820049 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111111/1321040014 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130805/1375655816 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131016/1381886490 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141202/1417541777 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150420/1429535226 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150708/1436358708 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151125/1448418974 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160310/1457624745 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160903/1472925464 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180502/1525223623 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/09/221549 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/05/12/095454