「第3」語る

西田進一郎「分断極まる米国「第3政党」の挑戦」『毎日新聞』2022年10月9日


2022年9月24日にテクサス州ヒューストンで開催された、”Not Lef, Not Right, Forward”というスローガンを掲げる「前進党(Forward Party)」*1の「キックオフイベント」を取材した記事。


[前進党の]共同創始者は、民主、共和両党に所属していた穏健派だ。一人は20年大統領選の民主党の予備選に立候補した実業家のアンドリュー・ヤン氏(47)*2。単独インタビューでは3点を強調した。①無党派層は民主。共和両党の支持層よりも多い②そうした人たちの選択肢がない③対立が激しい2大政党の間でも「共通の基盤」があり、添えに基づいた解決案を提示する――。弁舌にたけ、発言力があるヤン氏は党の象徴だ。
もう一人は、東部ニュージャージー州知事や共和党のブッシュ(子)政権で環境保護局長官を務めたクリスティーン・トッド・ウィットマン氏(76)*3だ。開会前に話を聞くと、「共和党はレールから完全に外れ、党綱領すら採択しなかった。もう、党ではなくドナルド・トランプ(前大統領)のカルト教団だ」と断じた。語り口は落ち着いており、説得力がある。その発言で会場は何度も沸いた。
「第3党」の明と暗について;

ユーストン大のリチャード・マレー名誉教授(政治学*4を訪ねると、「最も成功した例」として1912年大統領選の進歩党を挙げた。共和党だったセオドア・ルーズベルト前大統領(当時)が、後継者のウィリアム・タフト大統領(同)に不満を募らせ、退任から4年後に立候補した時の党だ。タフト氏を上回る票を得たが、結果的には民主党候補が当選。ただし、掲げていた労働環境の向上や1日8時間労働など進歩的な改革は取り入れられて実行された。
一方「スポイラー(妨害)効果」として注目されたのは、大接戦となった2000年大統領選の緑の党だ。ラルフ・ネーダー氏の得票率は3%未満だったが、主張が近い民主党アル・ゴア氏の票を奪ったとされ、共和党のブッシュ(子)氏の勝利につながったと言われている。
ところで、Wikipediaとかを読むと、「前進党」の「中道」性というのは、銃規制や妊娠中絶といったイッシューに対して、党としての態度を決めず、個々の党員や地方の支部に丸投げすることで成り立っているようなのだ;

Upon merging with the Serve America Movement and the Renew America Movement, Forward eliminated its party platform and instead announced they will take an approach that seeks common ground among Americans. Joel Searby, Forward's National Director, said that the party does not plan on taking positions on controversial issues such as guns and abortion; instead they will leave those issues up to candidates and state and local chapters to decide Steve Brawner, a freelance journalist and syndicated columnist, also said that "We think that Americans want and need a party that speaks to the needs of their local communities and gives elected officials the flexibility to meet those needs, instead of a rigid, top-down platform that prescribes exactly what you have to believe about any given issue…"