「「できる」は急に来る」など

「勉強してるのに、テストではなぜか‥‥どうして(静岡県三島市、中1)」(「てつがくカフェ」*1)『毎日新聞』2022年7月24日


この問いに、神戸和佳子(「ゴードさん」)*2


(前略)「わかった」と思えるまで勉強しているかな? 練習問題が解けるってことじゃなくて、休んだ友達や下級生に教えられるくらいまで理解するってことだ。実際に誰かに説明してみるのもいいよ。あとは、ひとりよがりな勉強をしている場合、先生に質問するのを遠慮してない?
先生は教えるのが仕事だ。質問攻めにしよう。それから、単純にまだ結果が出ていない場合。何事も結果が出るには半年*3はかかるからそこまでは我慢が必要。だからテストの点を目標にしないほうがいいよ。「わかった」を楽しめば勉強し続けられるからね。
松川えり(マツカワさん)*4

(前略)私は、理解より練習が足りない可能性もあると思う。(略)ケーキの作り方を知っているからって、ケーキを作るのがうまいとは限らない。サッカーでこうボールを蹴ればいいとわかっていても、思ったとおりに体が動かなかったりする。結果を出すには、理解だけじゃ不十分だ。たくさん練習して初めてできるようになる。
テストだって同じだよ。学習内容が理解できていても、時間が足りなかったり、焦ってミスをしちゃったり、答えを聞いたら「あれか」と思うのに問題を見ただけじゃ気づけなかったりする。時間内にミスなくたくさんの問題を解くには、反射神経を鍛えなきゃ。「それじゃ本当の勉強にならない」という人もいるだろうけれど、できるようになって初めて理解できることもたくさんあるよ。
土屋陽介(「ツチヤさん」)*5

初めて自転車に乗れた日のことを思いだしてほしい。最初は何度練習しても転んでばかりで、こんなの絶対無理って思わなかったかな?
(略)
こんなふうに、ずっと出なかった結果が急に出るというのは、実は勉強でもよくあることだ。僕にとって英語がまさにそんな感じで、全然読めなかった英語の文章がある日急にスラスラと読めたときは、本当にびっくしりたな。
なぜそんなことが起こるかというと、知識や理解の全体量が一定の水準に達するまでは努力が結果に一切反映されてないことが、勉強ではかなり多いからだ。でもその間も、勉強を続けている限り学力は蓄積され続ける。そして総量がある一線を超えたとき、どーんと結果が出る。できるようになる瞬間は急に訪れるので、それを信じてとにかく無心に粘るというのが、僕の考える勉強のコツだな。