絶版危惧種

haruhiwai18*1「自分のやっていることに意味とか価値とか張り合いなんて、なるべく感じないほうがいいのだ ―金井美恵子『夜になっても遊びつづけろ』を読む―」https://haruhiwai18-1.hatenablog.com/entry/2023/01/15/000000
高崎俊夫「『夜になっても遊びつづけろ』を再読する」https://www.seiryupub.co.jp/cinema/2013/09/post-76.html


金井美恵子先生の『夜になっても遊びつづけろ』*2について。金井先生の最初のエッセイ集。1969年から1973年の間に書かれた。こういう本なので、これはこういう本だと一言で断言するのは難しいだろう。
現在新刊書店の棚で金井美恵子の本を見つけることはかなり難しい。それは40年前の1980年代も同じだった。その頃、講談社文庫版は既に絶版で、『夜になっても遊びつづけろ』というタイトルは何故か知っていたものの、実物を手に取るどころか、目にしたこともなかった。神保町の某古本屋で見つけたときは、その瞬間、かなりの幸福感が湧き出てきた。
高崎氏は『夜になっても遊びつづけろ』に収録されたエッセイについて、「若き日の、ある独特の観念の硬さがそのまま、引き締まった持続と諧謔をたたえているエッセイ」と表現している。こうした特性は、『夜になっても遊びつづけろ』に続く、エッセイ集というよりは評論集といえる『添寝の悪夢 午睡の夢』や『書くことのはじまりにむかって』にも当て嵌まると思う。この2冊は初めて買った金井本なのだが、東京の大きめの本屋を何軒か回ってやっと買えたという記憶がある。やはり1980年代前半のこと。また、それ以降、本屋で見かけたことはない。