『ガロ』を継いで

村上春樹さんの著作のイラストを書く漫画家」『毎日新聞』2023年1月12日


村上春樹『猫を棄てる』にイラストを提供している高妍さんへのインタヴュー記事。


幼い頃から絵を描くのが好きで、中学生になるとSNSに作品を載せるように。芸術大に進んだが、想像していた学生生活と落差を感じ、スランプに陥った。授業をサボってライブや展覧会に通い、マニアックな品ぞろえの漫画喫茶で日本の雑誌「ガロ」*1と出会った。
漫画を読むために日本語の勉強を始め、村上春樹さんの小説や細野晴臣さんの音楽にも親しんだ。やがて、漫画市場が確立している日本で活動したいと志すように。「歴史が長く競争がある。より厳しい環境で挑戦したかった」
日本向けにSNSでイラストを公開していたところ、漫画家の江口寿史さんの目に留まり、ムックに作品を発表。その結果、村上さんの著作「猫を棄てる」の表紙絵や挿画の依頼が舞い込み「本当にびっくりした」。
昨年5月には、台湾で日本文化を愛好する大学生の切ない恋心を描いた漫画「緑の歌」を刊行。現在は東京都内で暮らし、大学生の時の沖縄留学経験を基にした新作の準備をしている。目指すのは「私にしか描けない漫画」だ。