富士なのにアソ

藤倉善郎*1安倍昭恵氏や国会議員がこぞって肩入れ…「不二阿祖山太神宮」のトンデモ歴史観https://news.yahoo.co.jp/articles/ec294947300ffdb29d3c61e71fa7948de11af149


静岡県富士吉田市にある「不二阿祖山太神宮*2について。


境内には“ムー大陸の文字”なるものが記されたプレートが。2020年に筆者が取材に行くと、“平和を祈るホピ族の儀式”が行われていた。だが登場したのはホピ族とは別のネーティブアメリカンであるアパッチ族の羽飾りを頭につけた男性。終了後に聞くと、アパッチの祖母を持つクオーターでホピ族は関係ないという。随分テキトーだ。

 社務所には団体の機関誌と一緒にオカルト雑誌「ムー」が置かれ、ここを訪れた著名人の写真コーナーもあった。目を引いたのは、この神社の渡邉政男教祖と安倍晋三元首相の妻・昭恵氏が写ったカット(写真=撮影・藤倉善郎)だ。

 不二阿祖山太神宮は2009年に設立された新興宗教団体。200万~300万年前のこの地に天皇を頂点とする「富士王朝」(古代富士王朝)と天皇家ゆかりの「不二阿祖山太神宮」があったと主張する。

この世界観や史観は「宮下文書」*3に基く。所謂超古代史。

 不二阿祖山太神宮は14年から関連NPO法人の主催で「FUJISAN地球フェスタWA」なるイベントを年1回開催。富士王朝をテーマにしたシンポジウムなどを行い、「ムー」の編集長も登壇した。

 15年、当時首相夫人だった昭恵氏がイベントの名誉顧問に就任。同年、71人もの現役国会議員が顧問などとして関わり、9つの中央官庁、19の自治体、8つの教育委員会、計36もの行政機関が後援として名を連ねた。地元メディアと毎日新聞社のような全国メディアを含め計7社が後援。コロナ禍の21年でも58人の国会議員を動員した。

 17年にこの件を日刊ゲンダイがスクープ。すると昭恵氏の名が役員名簿から消え、現在、名誉顧問として最上位に掲載されているのは石破茂氏だ。

不二阿祖山太神宮」というのは知らなかったのだ。最初に名前を聞いたときの最初の感想は何故富士(「不二」)なのに阿蘇(「阿祖」)なのかというものだった。
ネット検索した限りだと、「不二阿祖山太神宮」は所謂パワースポットとして、富士山周辺の観光スポットのひとつになっているようだ。上で言及されている「シンポジウム」に政治家、官庁、大手メディアが関わっているというのも、観光地のプロモーションという意味があるのだろう。
ただ、「古文書」といっても江戸時代後期に捏造されたものであること、その内容がフィクションであることが(ほぼ確定している)ことを隠蔽或いは否定して、古代以前の古代から伝わったものだと主張しているとするなら、そういうイヴェントに官庁や大手メディアがコミットしているのは問題であろう。数年前にも、滋賀県高島市偽書ホツマツタヱ』を「地域活性化」に利用しようとしていることを『産経新聞』がけっこう好意的に報道していた*4
大袈裟かも知れないが、これは歴史修正主義の一形態として論じられるべきだろう。歴史修正主義というと、物々しく血腥いが、要するに、優先的な政治的目的のためなら、歴史は書き換えてかまわない、さらには歴史記述はそうした優先的な政治的目的に従属しなければならないという考え方だろう。所謂「江戸しぐさ*5では、道徳的説教のネタとして偽史が肯定される。「富士王朝」や『ホツマツタヱ』に関しては、観光振興や「地域活性化」のネタとして、偽書が公的機関によって肯定されるといことになる。
なお、「不二阿祖山太神宮は、もともと「天住の会」と称する宗教法人で、山梨県都留市で設立された」。


CHIE「世界最古!?今最も話題の神社「不二阿祖太神宮」」https://ima.goo.ne.jp/column/article/9896.html


「スピリチュアル占い師」によるこのテクストは、はっきり言って、「不二阿祖太神宮」のプロパガンダに寄り添いすぎだと思うけれど、「不二阿祖太神宮」としては興味深い。