主題としての「私」

関雄輔*1「小説で書く「私」という存在」『毎日新聞』2021年12月25日


町屋良平氏へのインタヴュー記事。
「「書く私」と「書かれる私」の関係から、言葉と身体、暴力と自意識の問題にまで踏み込んでいく」『ほんのこども』について。


「『私』に対する意識が薄かった」と作家としての自身を語る。「これまで、エッセーでも自分のことはほとんど書いてきませんでした。その『書けなさ』に小説を通じて迫りたいと思ったんです」
語り手の作家「かれ」は、創作についての悩みを抱え、元同級生「あべくん」の文章を借用して、その人生を小説にしようとする。暴力に満ちた半生を送り、早世した「あべくん」の物語をたどるうちに「かれ」と「あべくん」の境界は不明瞭になっていく。