A/F

承前*1

森本智之*2「「2人で1人」だから藤子「不二雄」だった コンビ解散後も互いに手放さなかったペンネーム」https://www.tokyo-np.co.jp/article/170490


藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄)から見た藤子・F・不二雄藤本弘)。


運命の出会いは、小学5年生。転校先の休み時間、教室で一人、ノートにチャンバラを描いていた安孫子さんに「おまえ、絵がうまいのう」と声を掛けたのが藤本さんだった。共にひ弱ないじめられっ子。漫画が何より大好きで、母子家庭という境遇も重なり、すぐに打ち解けた。
 安孫子さんは、高校卒業後、新聞社に就職したが、2年足らずで退社、漫画に専念するため上京する。きっかけは、藤本さんの「東京へ出よう」というひと言だった。仕事は順風満帆で、何のあてもない生活に飛び込むことが本当は怖かった。だが「2人なら何とかなるかも」と賭けてみることにした。
 解散を切り出したのも藤本さんだ。生前の安孫子さんによると、87年のある夜、近くに住む安孫子さんの自宅を突然訪れ、「もう別れよう」と告げた。このころ藤本さんは大病を患っていた。「もしかしたら僕や周りの人に迷惑をかけられないと思ったのかもしれない」