逆転

京都新聞』の記事;


優生保護法の強制不妊手術、国に賠償命じる判決 東京高裁、2例目判断
3/11(金) 14:03配信


京都新聞

 優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、東京都の男性(78)が国に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は11日、同法は憲法の幸福追求権などに反しており違憲とし、請求を認めて国に1500万円の賠償を命じた。全国9地裁・支部で起こされた訴訟のうち、賠償命令は先月の大阪高裁に続いて2例目。

 国の責任を認める高裁判決が続いたことで、今後、国の対応や、被害者に対する一時金支給法の抜本的見直しに向けた動きが注目される。

 東京高裁では、「時の壁」とも言われる損害賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が争点の柱だった。高裁判決は「国は被害者が自己の受けた手術について情報を入手できる制度の整備を怠ってきた。被害者の多くは特定の疾病や障害を有するとして優生手術の対象として選定される差別を受け、生殖機能を回復不可能な状態にさせられたものであり、二重、三重にも及ぶ精神的・肉体的苦痛を与えられた。国の行った施策によって、偏見や差別を社会に浸透させた」と述べた。

 大阪高裁判決は除斥期間の適用を認めると、情報アクセスが困難な障害者にとって「著しく正義、公平の理念に反する」として国に賠償を命じた*1。国は大阪高裁判決を不服として上告している*2

 原告男性は1957年、宮城県の救護院(現在の児童自立支援施設)に入所していた14歳のとき、誰からも説明のないまま不妊手術を強いられ、憲法13条が保障する幸福追求権を侵害されたとして、2018年5月、東京地裁に提訴した。現在、各地の原告らでつくる「優生手術被害者・家族の会」共同代表を務めている。

 東京地裁は20年6月、手術から20年以上が経過し、民法の規定に基づき、賠償請求権は消滅したとして請求を棄却した*3
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d3d52163474a5fc928bc2548645445353a334df

NHKの「旧優生保護法 不妊手術強制で国に1500万円の賠償命令 東京高裁」*4から;

判決を言い渡したあと、東京高等裁判所平田豊裁判長は、法廷にいる人たちに向かって改めて語りかけました。

異例の“所感”の内容です。
「原告の男性は、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制され、憲法が保障する平等権、幸福になる権利を侵害され、子どもをもうけることができない体にされました。
しかし、決して人としての価値が低くなったものでも、幸福になる権利を失ったわけでもありません。
『旧優生保護法による手術は幸せになる可能性を一方的に奪い去るものだ』などと言われることがありますが、子どもをもうけることが出来ない人も、個人として尊重され、ほかの人と平等に、幸せになる権利を有することは言うまでもありません。
手術が違憲・違法なものであること、その被害者に多大な精神的・肉体的損害を与えたことは明確にされなければなりませんが、この問題に対する憤りのあまり、子どもをもうけることのできない人たちに対する差別を助長することとなり、その人たちの心情を傷つけることはあってはならないと思っています。
報道などの際にも十分留意していただきたいと思います。
このような観点から判決では誤解を与えかねない情緒的な表現は避けましたが、被害を軽視しているものではありません。
原告の方は、自らの体のことや手術を受けたこと、訴訟を起こしたことによって差別されることなく、これからも幸せに過ごしてもらいたいと願いますが、それを可能にする差別のない社会を作っていくのは、国はもちろん、社会全体の責任だと考えます。
そのためにも、手術から長い期間がたったあとに起こされた訴えでも、その間に提訴できなかった事情が認められる以上、国の責任を不問にするのは相当でないと考えました」。