山本圭『現代民主主義』 - Living, Loving, Thinking, Again

山本圭『現代民主主義　指導者論から熟議、ポピュリズムまで』*1を数日前に読了。

まえがき

序章　民主主義の世紀
第１章　指導者と民主主義
第２章　競争と多元主義
第３章　参加民主主義
第４章　熟議と闘技
第５章　現代思想のなかの民主主義
終章　未来に手渡す遺産として

あとがき
主要参考文献

この本のハイライトは後半部（第３章以降）ということになるだろう。選挙によるエリートの選出というオーソドックスな「民主主義」（「自由民主主義」）*2への意義申立ての試みが概観されていくからだ。第３章では「参加民主主義」、第４章では「熟議民主主義」と「闘技民主主義」が紹介される。第５章では、「政治の（不）可能性の条件について考察する」（p.172）所謂「現代思想」における「民主主義」の省察が紹介される。ジャック・デリダ、ジャック・ランシエール、エルネスト・ラクラウ。終章で触れられるのは、（私にはあまり馴染みがなかった）「民主主義」論の新傾向。「認識的デモクラシー」と「ステークホルダー・デモクラシー」。
ひとつ不満を言えば、「民主主義」と「立憲主義」*3との関係への言及がないこと。憶えている限りでは、「立憲主義」という言葉が出てくるのは、カール・シュミット絡みでの１箇所だけだ（p.40）。

*1:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/02/09/142432 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/02/14/164042 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/02/17/110451

*2:その典型は、シュンペーターとダール。Cf. 第２章。