拘束されて

ウガンダのウェイトリフティングの選手が事前合宿中の大阪府泉佐野市から失踪し、三重県四日市市で保護され、ウガンダに、帰国したということがあった。日本到着後に世界ランキングが下がり、オリンピック出場資格がなくなってしまったということで、気が動転してしまうのは無理ないよねと思った。しかし、さらに複雑な事情があったようなのだった。
『日刊スポーツ』の記事;


ウガンダ選手を三重で保護 失踪から4日 時折涙を浮かべ
[2021年7月21日8時33分 ]


大阪府泉佐野市でホストタウンとして受け入れていたウガンダ選手団のうち、失跡していた重量挙げ選手ジュリアス・セチトレコ(20)が20日三重県四日市市内で発見、保護された。顔写真付きの身分証明書を保持し、本人だと認めた。市の担当者は「見つかって良かった。今後の対応は警察や大使館と協議する」とした。大阪府警によると、セチトレコは今後、選手団か大使館、泉佐野市役所のいずれかに送り届ける方向で調整しているという。

府警によると、セチトレコは16日から失踪。滞在していたホテル最寄りのJR熊取駅で新大阪から名古屋行き新幹線の切符を現金で購入していた。名古屋市内で、知人のウガンダ人男性と車で合流し、岐阜県に移動した。2人の合流を愛知県警が防犯カメラ映像などから把握。2人の行方を捜していたが、19日深夜に岐阜の男性宅にセチトレコがいる可能性が浮上した。

20日午前8時、大阪府警、愛知県警、岐阜県警の合同で岐阜県の男性宅を訪ねた。男性はセチトレコを三重の別の知人宅まで送ったと説明。その後、三重県警と大阪府警が知人宅に向かい、この家に滞在していたセチトレコを発見、保護した。抵抗はしなかったという。警察の質問にも素直に答え、時折涙を浮かべて対応したという。

セチトレコは滞在中に67キロ級のランキング変更により出場資格を失い、他の選手らが選手村に移動する20日に帰国予定だった。他の選手たちは20日、選手村に入った。【沢田直人】
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202107210000044.html

スポーツニッポン』曰く、

失踪のウガンダ人重量挙げ選手 帰国の途に、日本滞在希望も納得
[ 2021年7月22日 05:30 ]


 東京五輪ウガンダ選手団の一員として来日後、事前合宿先の大阪府泉佐野市内滞在中に失踪し三重県で保護された男子重量挙げのジュリアス・セチトレコ(20)が21日深夜、成田空港から帰国の途に就いた。千代松大耕市長によると、市職員は東京都内の警察署で、保護された人物をセチトレコと確認した。選手は21日朝の時点で、日本に残ることを望んでいた。その後、選手団代表との面会などを経て、帰国に納得したという。
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/07/22/kiji/20210721s00031000693000c.html

共同通信(『中日新聞』);

失踪のウガンダ選手を釈放 帰国後に拘束
2021年7月28日 21時42分 (7月28日 21時51分更新)


 東京五輪ウガンダ選手団の一員として来日後に失踪し、保護されて帰国した男子重量挙げのジュリアス・セチトレコ選手について、ウガンダのメディアは28日、帰国後に身柄を拘束されていたが、釈放されたと報じた。同日までに訴追はされていない。
 セチトレコ選手は大阪府泉佐野市内の宿舎に「日本で仕事したい」という趣旨の書き置きを残して失踪した。
 全国難弁護団連絡会議は27日、帰国後の処遇を調査するよう東京五輪パラリンピック組織委員会などに申し入れたと明らかにしていた。(共同)
https://www.chunichi.co.jp/article/299901

TBSが伝えるところによれば、本人は「難民申請の意向を示し」ていたのだった。

「五輪選手らが難民申請なら支援を」弁護士の団体が政府などに申し入れ
27日 18時59分


 難民を支援する弁護士の団体が、東京オリンピックで来日した選手や関係者が難民申請の意向を示した場合、適切に審査するよう、政府などに申し入れを行いました。

 東京オリンピックでは来日したウガンダの選手が事前合宿先から失踪し、その後保護され、帰国しています。

 「全国難弁護団連絡会議」は、「日本に残りたいという意思を示していたのに帰国させたのは問題だ」としていて、政府や大会組織委員会などに、選手や関係者が難民認定の意向を示した際には▼本国の大使館員と接触させないことや▼支援団体に連絡する機会を設けることなどを申し入れました。

 「全国難弁護団連絡会議」は、帰国したウガンダの選手が本国で処罰などを受けていないか調査することも求めています。
https://twitter.com/MikioSumita/status/1420388524809850886

「難民申請」をしなかったのは駐日ウガンダ大使館員の「説得」のため*1。「説得」に応じて帰国したら、早速「拘束」。ここでは詳述しないが、日本の難民認定、或いは難民申請者に対する入管当局の扱いは内外の批判の対象となっている。これは、入管ではなく警察のやったことだけど、喩えてみれば、性犯罪の被害者を加害者側の代理人に面会させるようなものだ。
いきり立つウガンダ政府上層部;

*1:「失踪したウガンダ選手が帰国直後に拘束され、警察に連行 事実上の「独裁国家」で安否を危惧」https://news.yahoo.co.jp/articles/66cd7021c0f7e414a0212c631a663fde5177762c