American Catholics

松本佐保*1カトリック信仰と米の新政策」『毎日新聞』2020年12月17日


ジョー・バイデンジョン・F・ケネディ「に次ぐ米史上2人目のカトリックの大統領」である。
ということで、米国のカトリック教徒の政治的指向性についてメモ。


米国は建国以来プロテスタント国であり、ケネディ大統領誕生までカトリックは少数派として差別の対象で、民主党支持者が多かった。それが1970年代後半ごろから真っ二つに割れ、最大の浮動票となった。2016年選挙ではカトリック全体の54%はトランプ氏、45%がヒラリー・クリントン氏師事で、今回は50対49とほぼ拮抗した。カトリックは米有権者数の25%以上で、ラティーノ人口増大に伴い、特に南部では顕著な増加傾向にある。今回の選挙を4年前と比べると、白人カトリックの票が民主党に増え、共和党ラティーノの票が増え、フロリダやテキサスでのトランプ氏の勝利を説明できる。一方白人カトリックはバイデン氏自身であり、彼らは北部や工業地帯、ラストベルト(さびついた工業地帯)*2に集中、選挙人数20のペンシルベニア州イリノイ州は24~28%とカトリック人口が多い。白人カトリックは欧州系だが、ケネディ家やバイデン氏に代表されるアイルランド系は北東部に多い。
今回の選挙で争点だった郵便投票により、ラストベルト諸州で赤から青に引っくり返る「赤い蜃気楼」現象が起きた。そのためトランプ氏は、これら諸州で訴訟を繰り返している。つまりラストベルトが選挙の勝敗を決定し、4年前トランプ氏に入った白人カトリック票をバイデン氏が奪還したからだ。バイデン氏はクリントン氏の労働組合軽視と敗北から学び、本来の組合重視政策に戻り、ペンシルバニア州スクラントン、炭鉱と鉄鋼の街に生まれたアイルランドカトリックの出自を強調し、選挙戦を成功に導いた。
あと、教皇回勅とバイデン政権の関係。