コモンズは悲劇ではない?

岩崎寛*1地域資源である「緑」に関わることによる新しい地域ケアのかたち」『ひと・まち・自然』*2一般財団法人世田谷トラストまちづくり )19、p.8、2021


曰く、


千葉市花見川区にある花園公園*3は、地域住民のコミュニティ形成の場として積極的な利用が期待されていたが、実際の利用は少なく、関心の低さから、ゴミの不法投棄も発生し、住民の公園に対する意識向上が求められていた。この状況を改善するために、地域住民が公園と積極的に関わる仕掛けとして『摘んで良い花壇』を設置した。花壇は、誰もが簡単に作業できる「レイズドベッド」とし、摘んで香りを楽しむことや、ハーブティーとしても使えるハーブを植栽した。レイズドベッドには【見て、触れて、香りを楽しんでください。気になったら、少しつんでもいいですよ】と書いた看板も設置した。すると、これまで公園に関心の無かった地域の人々がハーブを触りに来る光景がみられ、さらにはデイサービスの高齢者や、学校帰りの子供たちが水やりをし始めたのである。しかし、個々が勝手に潅水していたため、ハーブの生育状態が悪くなってしまった。これまで、公園の植物が枯れても素通りしていた住民が、自分たちが関わったことから公園に愛着が生まれ、どうすれば枯れないかと住民同士で相談するようになったのである。こうして、この公園は現代社会では関わりが希薄な地域住民同士のコミュニケーションの場となり、区の地域活性化支援事業に認定され、現在も活動が続いている。