「インフォーマルな暴力」

白井聡*1「エイコ・マルコ・シナワ『悪党・ヤクザ・ナショナリスト』」『毎日新聞』2020年7月4日


曰く、


(前略)「合法的暴力」と並行して、インフォーマルな暴力を生業とする人間集団が存在し、その暴力は国家の暴力と微妙で複雑な関係を持ってきた。本書は、そうしたインフォーマルな暴力が、明治時代から戦後までの近代日本の政治の舞台でどのように組織化され、機能してきたかを概観するものだ。壮士、院外団、右翼、ヤクザといった集団は、国家権力によって取り締まられる存在であると同時に、権力が利用し依存する存在であった(後略)