浪漫主義?

古今和歌集 (岩波文庫)

古今和歌集 (岩波文庫)

紀貫之が『古今和歌集』「仮名序」*1在原業平について、「在原業平は、その心あまりて言葉たらず。しぼめる花の、色なくてにほひ残れるがごとし」と評している(p.18)。
これを読んで、どうしても、よく謂われる


形式と内容の均衡(古典主義)
内容の過剰(浪漫主義)
形式の過剰(マニエリスム


という図式を想起してしまう。
因みに、『古今集』に収録された業平の歌は、


ねぬる夜の夢をはかなみまどろめば いやはかなにもまさるかな(644、p.156)

月やあらぬ 春や昔の夢ならぬ 我が身ひとつはもとの身にして(747、p.176)

おほかたは月をもめでじ これぞこの積もれば人の老となるもの(879、p.206)
この貫之の評言は、『100分de名著』で高樹のぶ子さんが紹介していたのだけど、テキスト(『伊勢物語 ためらいを肯定する』)の方には言及がない。
伊勢物語 2020年11月 (NHK100分de名著)

伊勢物語 2020年11月 (NHK100分de名著)