- 作者:佐伯 梅友
- 発売日: 1981/01/16
- メディア: 文庫
紀貫之が『古今和歌集』「仮名序」*1で在原業平について、「在原業平は、その心あまりて言葉たらず。しぼめる花の、色なくてにほひ残れるがごとし」と評している(p.18)。
これを読んで、どうしても、よく謂われる
形式と内容の均衡(古典主義)
内容の過剰(浪漫主義)
形式の過剰(マニエリスム)
という図式を想起してしまう。
因みに、『古今集』に収録された業平の歌は、
ねぬる夜の夢をはかなみまどろめば いやはかなにもまさるかな(644、p.156)
月やあらぬ 春や昔の夢ならぬ 我が身ひとつはもとの身にして(747、p.176)
この貫之の評言は、『100分de名著』で高樹のぶ子さんが紹介していたのだけど、テキスト(『伊勢物語 ためらいを肯定する』)の方には言及がない。
おほかたは月をもめでじ これぞこの積もれば人の老となるもの(879、p.206)
- 作者:髙樹 のぶ子
- 発売日: 2020/10/24
- メディア: ムック