たしかに、「山椒魚の名は、体にサンショウに似た香りがある種がいることによる」と唐突に断言しちゃってますよね。しかも典拠も全然示さずに。さて、Wikipediaの「オオサンショウウオ」の項には、北大路魯山人の説として、
白クマWiki先生によると、サンショウに似た香りを持つ種がいるからだそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%A6%E3%82%AA
というう記述があります*1。魯山人は海原雄山のモデルとも言われているように〈権威〉ではありますが、ほかにも証言はないんですかね? 魯山人先生一人じゃ、かなり心許ない。また、「強い山椒の香り」というのもちょっとわかりづらい。山椒はミカン科なので、いい匂いだとは思いますけど、「強い」というよりは幽かな香りという感じですよね。いくらいい匂いであっても、「強い山椒の香り」だったら、ウナギの蒲焼きもあまり美味しくなさそう。
(前略)北大路魯山人の著作『魯山人味道』によると、さばいた際に強い山椒の香りが家中に立ち込めたといい、魯山人はこれが山椒魚の語源ではないかと推測している。最初は堅かったが、数時間煮続けると柔らかくなり、香りも抜けて非常に美味であったという。(後略)
それから、横溝正史の『悪魔の手毬唄』については、
襟裳屋「角川文庫に学ぶ襟裳屋的悪魔の手毬唄基礎用語咀嚼」http://park12.wakwak.com/~elmore/temariutakou.html
をどうぞ。「山椒魚」を含む詳しい注釈。
- 作者:横溝 正史
- 発売日: 1971/07/14
- メディア: 文庫