旗を売る人たち

黒田加那「謎の“国旗売り”の正体は…各地に出没の「ベッグパッカー」?」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200222-00010000-nishinp-soci


福岡市西区の話;


男性の報告はこうだ。1月29日の午後2時半ごろのこと。男性が営む自動車整備工場で仕事をしていると、20代くらいで茶髪の白人男性が入ってきた。

 無言で差し出されたカードにはこう書かれていた。「私たちは聴覚障害者です。あなたたちとの文化にふれあいたいので、私たちの旗を500円で購入していただければ素晴らしい日本を知ることができる」。ちょっと怪しげな日本語に英語が併記されていた。


 西区以外でも国旗売りが目撃されている。福岡市の女性は1月26日の午後7時ごろ、JR博多駅付近のカフェで、若い白人男性に国旗を渡され、カードを見せられた。文言は西区の男性に渡されたものと同じ。女性の夫が断ると、無言で店を出て、今度は道行く人々に国旗を渡し、メモを見せようとしていたという。近くには、同様の行為をしている別の外国人男性の姿もあった。「(2人の行動は)慣れていると感じた」と女性は語る。

 ツイッター上では、福岡県外で同様の経験をした人たちの投稿も相次いでいる。東京では数年前から「国旗を売る外国人に深川で遭遇した」「秋葉原で日本国旗を配っている白人女性がいる」などの目撃談が続く。大阪でも「大阪市内で旗と500円を交換した」などとつぶやいている人がいた。手渡されるカードの画像を投稿している人も多いが、いずれもほとんど同じ内容だった。


海外では、募金などの形で旅行資金を求めながら旅をする「ベッグパッカー(beg packer)」の存在が報じられている。大きなリュックを背負って旅をする「バックパッカー」と、物乞いを意味する英語「ベッグ(beg)」を掛け合わせた造語だ。

 東南アジア地域で多いようだが、2018年には、韓国紙・中央日報が韓国で増加するベッグパッカーの実態を報じた。ソウルで20代の白人男性から「私は聴覚障害者で、旅費を準備中なので、太極旗(国旗)を3千ウォンで買ってほしい」と書かれた紙を受け取ったという、福岡の事例とそっくりな体験談もある。

 この記事では、韓国で見られるベッグパッカーの多くが欧米人であることを特徴として挙げており、「西洋人にとって無銭旅行は一種の文化」「白人がアジアを比較的甘くみて、韓国の人々も彼らに友好的である事実が知らされたことからベッグパッカーが増えている」とする識者のコメントも紹介している。

上海にいた頃はカフェで自称「聴覚障害者」の営業活動に遭遇することが時々あった。勿論、それは「欧米人」ではなく中国人だったけど。
別に右側の人を狙い撃ちしているわけではないようだ。まあ、昔から皇室関係をネタにした商売はあったわけだけど。
金井美恵子先生曰く、

二日酔いというより、これはもう三日酔いの状態に風邪のリヴァイヴァルで咳が止まらなくなり、ゼイゼイ息をしながら、タバコについての原稿を書きはじめていると、文京区(だかの)皇室敬愛(愛護だったか)会とか名乗るゼイゼイ声のジイさんから電話があって(前にもあって、姉が出たそうなのだが、その時は私は留守だった)、なんだか訳のわからないことをペラペラ(かつ、ゼイゼイ)喋るのだった。皇太子御夫妻××殿下、○○妃殿下にお子様がめでたく御誕生されたのを記念して(今度は、過去に、タイム・スリップした感覚に襲われ、過度の飲酒は慎むべきかも……と思う)、皇室伝統のナントカカントカのナニナニカレコレの御着衣で正装なされた両殿下の御写真六枚セットを、当委員会で厳選させていただいた先生方にお分けしたい、ナントカカントカのナニナニカレコレの御着衣御正装六枚のセットで、三万九千円、三万九千円の価格で、厳選させていただいた先生方に、と、ノリトのように節をつけて繰り返すので、合間を見つけて、そういうもの、興味がありませんので、と言うと、アッ、そーですか、と、木で鼻をくくったような素っ気ない調子で言って、ガチャン、と電話が切れた。このテの電話というのは、たまにあって、以前は、誰だったか死んだ政治家の、豪華金箔押し桐箱入り高級印刷色紙何枚セット、十五万、を厳選した方々に、というゼイゼイ声のジイさんの電話もあったから、オレオレ詐欺(これも、電話があった)のようには「詐欺」というわけでもないのだろうが、まあ、一種の準詐欺といえまいか、あっ、そうだ、島田雅彦先生におすすめしてみては? とジジイに言ってやればよかった、と、冗談を思いついて姉に話し、間接的脅迫だね、と大笑いしたせいで、ゲボゲボと咳き込み、何の冗談を言っていたのか、咳が治まった時には忘れてしまう程だった。それでも、タバコはやめない。
(「「禁煙空間」のひろがり」in 『目白雑録』、pp.210-211)*1
目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

1990年代には駅前にアクセサリーを売るイスラエル人がよくいたのだけど、あの人たちがいなくなったのは何時頃からなのだろうか。