死刑/終身刑/無期

永井均*1曰く、


永井氏の思考とは関係なく、私が考えてきたことを記す。
死刑や終身刑よりも無期懲役の方が残酷なんじゃないかと思う。私は死刑制度に反対だけれど、無期懲役を肯定している。それは、犯罪者に対する死刑とは別様の残酷を肯定しているということだろう。無期懲役の残酷さ、それは無限の負債の残酷さ。基督教では神が神の子イエスによって人間の罪を贖った負債は人間にとっては返済不能無期懲役を課せられた囚人の状況もそれと似ている。罪を償うという成句があるけれど、囚人が刑期を終えて出所すること、それは罪という負債を完済することだ。死刑や終身刑(life imprisonment)の場合、囚人は自らの死を以て自らの負債を完済することになる。しかし、無期懲役の場合、自らの死による負債の完済という図式は成立するのだろうか。法学者が何と言っているのかは知らないけれど、「無期」と言っている以上、死のうが焼かれようが、負債は残るんじゃないか。死刑や終身刑のように、死んだからといって、お勤めご苦労さんでした! ということにはならない。それは妄想だろうと言われるかもしれないけれど、私はそう思っている。無期懲役の死者を罪(負債)から解放するためには死者に対する恩赦が必要なんじゃないか?
ところで、米国の場合、罪が加算されて、懲役200年といった判決が屡々出るじゃないですか。小学校中学年の頃、そういう話を何処かで読んで、凄い恐怖を覚えた。懲役200年を課せられた自分が白骨化して、薄暗い牢屋に転がっているというイメージが生成してしまって。