- 作者: 松澤俊二
- 出版社/メーカー: 笠間書院
- 発売日: 2019/01/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
松澤俊二『プロレタリア短歌 恋愛を歌わなかった 自然の美しさを詠まなかった』(コレクション日本歌人選079)*1から1首。出原実という歌人の
松澤氏は、戦前(1920~30年代)の「プロレタリア短歌」の形式的特徴として、定型の蹂躙(字余りや字足らず)*2と口語や俗語の使用を挙げている。前者についていえば、美学とか文学史でお馴染みの二項対立に当て嵌めれば、「プロレタリア短歌」というのが(古典主義に対立する意味での)浪漫主義に属するということだろう。
貴様らにや健康保険があるが機械にやないんだ 気を付けろとぬかしやがる
ところで、この「コレクション日本歌人選」には、平野多恵『おみくじの歌 三十一文字の神仏のお告げ、そのルーツが鮮明に』というのがある。明治以降の神社のおみくじに載せられている和歌を集めたもの。また、御神籤以前の「和歌占い」に使われた歌、託宣としての歌も収録。
どの勅撰和歌集にも「神祇歌」というセクションがある。その時代を代表する名だたる名歌が目白押しの中、神様の御託宣とはいっても凡庸な歌が多いねと思っていた。と同時に、歌としては凡庸であるにも拘らず、必ず「神祇歌」が集められ・収録されている事実はずっと気になり続けていた。呪術としての和歌という問題。これは「プロレタリア短歌」にも通ずる。
この本を捲っていると、御神籤の短歌はオリジナルのものもあるが、(祭神を含む)その神社所縁の歌が用いられることが多い。天満宮の菅原道真とか。
- 作者: 平野多恵
- 出版社/メーカー: 笠間書院
- 発売日: 2019/05/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る