拒絶を拒絶して

「私が少女像を購入した」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191023/k10012145661000.html


従軍慰安婦を表象しているとされ、あいちトリエンナーレ炎上の口実にもされた「少女像」*1を購入したバルセロナの実業家、タチョ・ベネット氏へのインタヴュー。


「私も少女像の背景にある慰安婦については、日本と韓国の間でこの60年間、とてもデリケートな問題だと理解しています。両国の人々はこの問題を巡っていずれかの面からも心を痛めていますね」

こう前置きしたうえで、遠い日本で起きた今回の問題になぜ関心を寄せたのか、次のように説明した。

「今回日本で起きたように、作品が撤去される、または展示が中止される事例は世界中でどんどん増えています。私は強い危機感を持っています。行政だけでなく社会全体が、年々、傷つくことや嫌な思いをすることに、我慢できなくなっているのだと思います。検閲だって、実は行政だけでなく、作品が自分たちの感情や信念を傷つけていると感じる社会集団が行うことだってある。これは起きてはいけないことですが、よく起きることなのです」

こうした意識は、独立運動が昂揚しそれに対する西班牙国家からの抑圧も強まっているカタルーニャの状況*2とも無縁ではない。

ベネットさん自身、去年、『現代スペインの政治囚たち』というスペイン人作家の作品を購入した。

この作品はカタルーニャ州で、スペインからの独立運動に関わったとして、実刑判決を言い渡された人などをテーマにしていた。去年2月、マドリードの芸術祭で展示される予定だったがスペイン国内で大きな論争となり結局、事務局が開幕前に撤去したという。

ベネットさんによると、こうした表現の自由をめぐる問題は世界各国で起きている。