「自己放任」

「「金ピカ先生」は、なぜ絶望の中ひとりで逝かねばならなかったのか」https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191007-00067617-gendaibiz-life


所謂〈孤独死〉した佐藤忠志aka「金ピカ先生*1を巡る『週刊現代』の記事。
晩年の佐藤氏の生の状態が「自己放任」と形容されている。「あんしんネット」の石見良教氏曰く、


「『自己放任』は社会から孤立していた人が、死別や離婚で唯一の心の拠りどころだった人を失ったり、病気などの負の出来事に見舞われたりして、孤独に耐えられずに自暴自棄になってしまうことです。

 とりわけ、佐藤さんのように子供のいない高齢男性はその傾向がより顕著になる。普通、人間は生ゴミの臭いに耐えられず片付けたくなるものですが、毎日ボーッと過ごしているうちに感覚が麻痺して、それが異常であることにすら気づかなくなってしまう」

セルフ・ネグレクトというか、自己ケアの喪失。
「仕事以外のことはまるで何もできない夫と、半歩後ろを歩きながら身の回りを甲斐甲斐しく世話する妻」。「典型的な「昭和のおしどり夫婦」」だった。そうした関係が破綻して、その「孤独に耐えられずに自暴自棄になって」、死への坂道を転がり始めたというイメージだけど、そもそも家事能力がなく、妻に去られたら自己ケアを行うことが不可能になったということだろうか。
最後は一般的な教訓で締められている。こういうのは、多分現在の『週刊現代』が主要な読者層*2にはけっこうしんみりとくるのだろうか;

羽振りが良かった時代を忘れられず放蕩を続け、すべてを頼り切っていた妻に愛想を尽かされる。

 佐藤さんの辿った末路を、「自業自得」の一言で片付けるのは簡単だ。
しかし、どんな形にせよ、すべての夫婦に離別のときはやってくる。佐藤さんが襲われた絶望は、誰にとっても決して他人事ではない。

 「連れ合いと離れた後、女性は『独りで生きなきゃ』と覚悟を決めて強くなる場合も多いのですが、男性の場合は、一気に弱ってしまう人が少なくありません。

 近所付き合いや友人付き合いの多い女性にとって、夫は『たくさんある人間関係の一つ』に過ぎませんが、定年後に仕事関係のお付き合いがなくなった男性にとっては、奥さんとの関係は唯一無二のもの。

 死別や離婚でそれが失われると、どうしていいかわからず、ただ呆然と立ち尽くしてしまうのです」(ケアマネージャーオフィス「ぽけっと」代表の上田浩美氏)