大岡昇平がミンドロ島で米軍の捕虜になった後の記録「俘虜記」を読んでると、自国民や他国民に性的暴行したエピソードが捕虜同士の会話の1トピックとしてフツーに出てくるのでめちゃくちゃビビるんですよね。 pic.twitter.com/d0Eauxv06H
— ジェット・リョー (@ikazombie) 2019年8月9日
大岡昇平『俘虜記』*1に限った話ではなく、1950年代や60年代までの復員兵士の「性的暴行」の語りには或る種のカジュアルさがあったように思う。これまで『俘虜記』における「性的暴行」の語りが注目されてこなかったというのもそれ故なのでは? 1990年代の初めだったか、タイトルは忘れてしまったが、東北地方の農民への聞書きを集めた本を読んでいて、戦時中の「性的暴行」についてフランク或いはカジュアルに語っていることについて、語られた内容よりも語りのカジュアルなノリにショックを受けたということがあった。元兵士の農民の語りを文字化した、当然左側の人である著者も、その語りに対して突っ込みを入れるということをしていなかったのだ。それで思い出したのは、1980年代に聞かされた幾人かの〈ヤンキー〉*2の武勇談。武勇談というよりも対立するグループの女の子を拉致してまわしちゃったというようなことを、悪びれることなく語っていた。
- 作者: 大岡昇平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/08/14
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
*1:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20091029/1256816455
*2:その当時、関東では今のような意味での「ヤンキー」という言葉はなかった。