「春の運動会シーズン」?

妹尾昌俊*1「運動会はなんのため?だれのため?」https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/20190531-00128128/


今日は息子の小学校の運動会なのだった。


春の運動会シーズン、真っ盛り。最近のニュースでも、午前開催の”時短”運動会が増えてきていることや、危険性の高い組み体操を続ける学校があることなどが紹介されていた。

 運動会の時間やプログラムについて考えるのは大事なことだが、もっとも重要な論点が十分に確認されないままになっている、と思う。

 それは、実にシンプルな問いだ。

 「運動会はなんのため?だれのため?」

「春の運動会シーズン」ということだけど*2、何時の間にそうなったのか。そして、何故? 私が子どもだった頃は、「運動会」といえば秋だった。上海の日本人学校の運動会は9月だったけれど*3、日本内地では何処でも「春」のようなのだ。

ちなみに、運動会の歴史を紐解くと、海軍の幹部を育てる海軍兵学寮でのものが最初とのこと。英国のアスレチックスポーツを「競闘遊戯」と訳したものが、起源。当時は短中距離走走り高跳び、二人三脚などに加えて、豚追い競争(油をぬってツルツルした子豚をつかまえる)なんてものもあったそうだ(毎日小学生新聞2016年9月4日)*4

 初代文部大臣森有礼のときに運動会と兵式体操が全国の学校で行われるようになったが、「気を付け、前にならえ、全体前に進め」などは、その頃の名残りであるようだ。

ここで参照されている『毎日小学生新聞』の記事でも言及されているけれど、「運動会」というのは近代的な公教育制度がムラ社会(地域社会)にスムーズに着地するための仕掛けだったわけでしょ。娯楽も少なかった時代、教育制度は「運動会」という新しい「村の祭り」を提供することによって、地域社会に根を張ることができた。その後、年月が経って、地域社会も変容し、娯楽(レジャー)も多様化すると、改めて「運動会はなんのため?だれのため?」という問いが表面化するのもまた当然だ、ということになる。

*1:http://senoom.hateblo.jp/

*2:正確には「春」というよりは初夏というべきだろう。

*3:See https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180917/1537146406

*4:御園生枝里「きょうのなぜ? 運動会の歴史」https://mainichi.jp/articles/20160904/kei/00s/00s/007000c