Storm coming

青木冨貴子「「ポルノ女優」のスキャンダルは大統領の抱える「時限爆弾」になるか」https://www.huffingtonpost.jp/foresight/stormy-daniels_a_23407121/


安倍晋三森友学園問題への妻の関与*1を巡って危機に陥っているのとは全く違った意味で、その刎頸の友(?)であるドナルド・トランプは「女」の問題で追い詰められる可能性があるという。「ストーミー・ダニルズ」という藝名の「ポルノ女優」による告発。
TVタレント(『アプレンティス』というリアリティ・ショーのホスト)時代のトランプは、2006年7月に或るゴルフ大会でストーミーに出逢い、一目惚れをして、その日のうちに肉体関係を結んだ。その際、トランプは『アプレンティス』に出演させてやるとも言った。2007年に彼女がホテルに呼び出されたときには、セックスの要求を拒否した。トランプが『アプレンティス』出演の件に関しても何も言わなかったので、そのまま部屋を出て、それ以降はトランプからの電話も無視した。要するに、ここで関係は切れたわけだ。しかし、4年後の2011年に彼女が娘と外出していると、トランプの手下を名乗る男が寄ってきて、トランプとの件については黙ってろ、と脅迫した。さらに、2016年の大統領選挙の直前には、トランプの顧問弁護士が作成したとする、トランプとの件に関して沈黙を守るという「合意書」が彼女のところに持ち込まれ、彼女は「不本意ながらも署名した」。しかし、その「合意書」には一方の当事者たるドナルド・トランプの署名はなかった。すると、トランプの顧問弁護士であるマイケル・コーエンから彼女の銀行口座に〈手打ち金〉として13万ドルが振り込まれた。


 ドナルド・トランプホワイトハウス入りしてから、投稿するツイッターの数は毎日平均6〜7回、通算で3000回ちかくになる。にもかかわらず、性的関係をもったと訴え、現在、全米の話題をさらっているポルノ女優"ストーミー・ダニエルズ"(本名ステファニー・クリフォード)については1回も、一言も呟かず、長い沈黙を続けている。

3月6日、ダニエルズは現職大統領を相手取り、合意書の無効などを訴えてカリフォルニア州最高裁判所に訴訟を起こした。これに対し、16日、コーエンはトランプの承認のもと、ダニエルズの起こした訴訟を州から連邦裁判所に移し、ダニエルズが守秘契約を破ったとして、2000万ドルの損害賠償を求めたとしている。

 辣腕弁護士としてカリフォルニアでも名高いダニエルズの弁護士は、各局ニュース番組に出演し、弁舌さわやかに合意書と13万ドルの違法性を説き、この訴訟を一般の目から隠すために、調停に持ち込もうとするトランプ側を激しく攻撃した。

 トランプの弁護士も黙っていない。大統領の宣誓供述書をもとめるダニエルズの弁護士に対して、法律の悪用だと食ってかかる。連日の応酬を見ているテレビの視聴者は、3月25日夜に放映される「60ミニッツ」を見逃すはずがなかった。ダニエルズが出演し、インタビューに答えたこの晩の放送は、2200万人を超える視聴率を獲得し、同番組のなかでも、過去10年で最高を記録したのである。


ダニエルズの弁護士は、大統領と彼の顧問弁護士から宣誓供述書を取る許可を裁判所に求めている。もし、それが認められれば、トランプは宣誓した上で、ダニエルズと関係があったかどうか、13万ドルがコーエン弁護士から口封じのために支払われたことを知っていたかどうか、答えなくてはならない。

 真実を語らなければ、偽証罪に問われる。ダニエルズの弁護士は、彼女と大統領の関係を証明する証拠を持っていると話している。2人で交換したメールやテキストなどのほか、何と2人の関係を明らかにするDVDまで持っているというのだ。

予想される〈ストーミー効果〉。共和党の重要な支持層である「宗教右派」の反発。中間選挙出馬を諦めた共和党議員も出ている;

それに彼を支持する保守的な宗教右派の女性たちも、黙ってはいないはずだ。人口妊娠中絶に大反対し、福音書の教えに忠実な彼女たちにとって、この2人の関係ほど罪深いものはないだろう。まして、証拠など出てきたら、反トランプの大合唱がこだまするかもしれない。

 もっとも、頭を抱えているのは、大統領だけではない。共和党議員のなかには、今年秋の中間選挙での再選を諦めた下院議員もいる。選挙前、地元で開かれるタウンミーティングで、市民からダニエルズと大統領の関係について質問されたら、何と答えて良いのかわからないというのだ。

 共和党のなかで、11月の選挙に出馬しないと決めた下院議員は40人を数えるというから、定員435議席の下院で民主党が勢力を取り戻す可能性は高い。

 そうなると大統領弾劾についても、足並みが揃う可能性が出てくる。ひょっとすると、ダニエルズの訴えは、法的手続きの煩雑なモラー特別検察官の追及より足早に大統領に大きな打撃を与えるかもしれない。