指は何を憶えているか

Satoko Yasuda「おとぎの国みたい… 90歳のおばあちゃんが絵筆で村を変える。」http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/04/90-year-old-woman-wall-painting_a_23233280/


田舎の「壁画」といえば、鹿児島県阿久根市*1はどうなったのだろうか。
でも、上掲の記事はそれとは全然関係ない。チェコモラヴィア地方に住むアグネス・カスパルコヴァさんという90歳の女性は村の家々の壁に絵を描いている。一瞬、青い色ということもあって、お皿のような陶磁器を連想したのだが、とにかくこういうモノトーンの抽象的パターンは美しい。これは〈縄文風〉の刺青にも感じたこと*2。アグネスさんが描くのはモラヴィア地方に伝わる「伝統的な模様」であるという。それを彼女は下書きもせずに即興的に一気に描き上げてしまうという。多分、彼女は刺繍とか編み物(レース)とかを通じて「伝統的な模様」を身体的に記憶してしまったのだろう。Satoko Yasudaさんは「引退した後に楽しめることはたくさんある」、「カスパルコヴァさんのように、アーティストになるという選択ももちろんありだ」と述べている。でも、そのとき、多くの人は、私の指先はいったいこれまで何を憶えてきたのかという問題を突き付けられることになるのだろう。