入試向きではない

「学び舎の教科書を使う理由」http://taraxacum.seesaa.net/article/453023258.html


極左」だの「反日」だのと、ウヨ勢力からの十字砲火的な攻撃の憂き目に遭っている*1「学び舎」の中学向け歴史教科書『ともに学ぶ人間の歴史』*2を、何故灘や麻布といった「名門校」が使用するのか。


学校の教師としては(とくに進学校の教師は)、
生徒たちを入学試験に合格させる必要があります。
そのためには正統な歴史を教える必要があるということです。
でないと生徒たちは試験問題が解けなくなるからです。

学び舎の教科書を使う学校に「反日極左」などと
抗議する人たちが信じている歴史を教えたら、
生徒たちは入学試験に合格しなくなるでしょう。


「抗議」のはがきを送った人たちは、
自分たちが信じている歴史は、学術の世界では
とても受け入れられない「とんでも」歴史であることを
素直に認める必要があると思います。

入学試験に合格するということは、
それだけ必死になってやる必要があることです。
学術にのっとった歴史を教えるのは必然です。

学術にのっとった事実でも、入学試験に出ないことを
勉強する余裕なんてほとんどないです。
ましてや「とんでも」歴史を教えるなんて、
害にしかならないことをやっている余裕など、
なおさらないということです。

「入学試験」とは直接関係ないと思います。灘にしても麻布にしても、中高一貫校なので、高校入試に配慮する必要はありません。また、灘中学の和田孫博校長によると、この教科書が普通の中学であまり広まらなかった理由は、高校入試向けではないからであるようです;

担当教員たちの話では、この教科書を編集したのは現役の教員やOBで、既存の教科書が高校受験を意識して要約に走りすぎたり重要語句を強調して覚えやすくしたりしているのに対し、歴史の基本である読んで考えることに主眼を置いた教科書、写真や絵画や地図などを見ることで疑問や親しみが持てる教科書を作ろうと新規参入したとのことであった。これからの教育のキーワードともなっている「アクティブ・ラーニング」は、学習者が主体的に問題を発見し、思考し、他の学習者と協働してより深い学習に達することを目指すものであるが、そういう意味ではこの教科書はまさにアクティブ・ラーニングに向いていると言えよう。逆に高校入試に向けた受験勉強には向いていないので、採択校のほとんどが、私立や国立の中高一貫校や大学附属の中学校であった。それもあって、先ほどの葉書のように「エリート校が採択」という思い込みを持たれたのかもしれない。
(「謂れのない圧力の中で-- ある教科書の選定について --」http://toi.oups.ac.jp/16-2wada.pdf*3
まあ、歴史修正主義を鵜呑みにしていたら大学入れないよというのは当たり前といえば当たり前。〈水伝〉*4を信じてたら流体力学の単位をもらえないよというのと同じ。
この『ともに学ぶ人間の歴史』は「本来中学生が学習するには「ハイレベル」な内容」或いは「「よくできる子」向け」なのかどうかはわからないけれど、何よりも読み物として面白い、例えばグローバル(「世界」)への配慮が厚い、エンターテイメントやサブカルへの目配せもしているという特徴はあるようだ*5