
- 作者: ギソルマン,秋山康男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/06
- メディア: 単行本
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ギ・ソルマン『二十世紀を動かした思想家たち』*1、ブルーノ・ベテルハイムを巡る節から;
シュニッツラーはスタンリー・キューブリックの『アイズ・ワイド・シャット』の原作者であった*3。
ロサンゼルスでベテルハイムに会う前に、私は、哲学者のカール・ポッパー、経済学者のハイエクのような大思想家とまだ接触していなかった。その他二十世紀の思想を揺さぶったウィーンの人々と言えば、言語学*2のウィットゲンシュタイン、音楽のシェーンベルク、心理学のフロイト、経済学のコンラッド・ローレンツ、経済学のフォン・ミゼス、芸術史のゴンブリッチがいる。ベテルハイムの言によれば、彼自身も、今世紀のオーストリア生まれの天才たちのこうした星座の仲間だった。
そして、この天才たちは、それぞれの専門分野を持ち、世界中に散らばった。これほど多くの近代知性の革命家たちが、何故、この地、この時に現れたのか?
すべては、一八六六年、オーストリアがプロイセンとの戦争に敗けた時に遡る。その時から、ウィーンは、帝国の版図を持たない首都、つまり、頭でっかちになった。ウィーンの、知的・社会的エリートたちは、外界から遮断された。彼らは心を入れ替え、内部世界の制服へと向かった。一世代にわたる人々が、こうして、にんげんのけんきゅうにぼっとうした。人間の品性、その堕落、狂気といったものがタブーからはずされた、と彼は言う。
この時代、こうした冒険的思想は、通俗の政治的地秩序と衝突し、それがまた想像力を刺激した。首都は世界中の学生たちを吸収し、イタリア人、チェコ人、ハンガリー人、ドイツ人、ユダヤ人がいた。ベテルハイムは、ウィーン生まれの真の天才はシューベルトだと言う。そして、
「われわれの情況は、あらゆる文化が交錯した時代の地中海の一角を占めたギリシャに似ていた」
ウィーンは十九世紀末に、同性愛が犯罪でなくなった最初の都市だとベテルハイムは教えてくれた。アルトゥール・シュニッツラーのような作家たち、クリムト、エゴン・シーレといった画家たち、そしてこの世代の師であるジグムント・フロイト、彼らが深層心理をえぐり出した。狂気の最初の処方箋や心理療法、電気ショック、精神分析が現れたのもウィーンなのだ。(p.114)
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