「不合格者」を「登録」

『読売新聞』の記事;


不合格の学生に派遣会社登録指示…准教授を減給
2017年02月18日 10時17分


 富山大は17日、学生に人材派遣会社のホームページに個人情報を登録するよう指示したなどとして、富山大総合情報基盤センター所属の40歳代男性准教授を減給10分の1(1か月)の懲戒処分としたと発表した。

 処分は14日付。

 富山大によると、准教授は昨年6月下旬、経済学部や工学部の学生が受講する情報処理の講義で、1分間に300文字を打つタイピングテストを実施。不合格になった学生計約80人に、富山市内の人材派遣会社のホームページに登録するよう指示した。男性准教授は、富山大の許可を受けずに、この会社の役員に就任していた。

 富山大の調査に対して、複数の学生が「登録すれば単位がもらえると思った」と話しているが、男性准教授は「そんなことは言っていない」と否定しているという。

 遠藤俊郎学長は「教育・研究に携わる者として決して許されないものであり、誠に遺憾。再発防止に万全を図る」とのコメントを出した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170218-OYT1T50020.html

大学の「情報処理」の授業の実態がワープロ教室だったというのは仕方がないことなのだろう。まあ「タイピング」は事務労働で要請されるスキルの一つであり、事務系で人材派遣会社に登録するときにも「タイピングテスト」は普通に行われていただろう。さて、よくわからないのは、「不合格」の学生を「登録」させていたということ。「タイピングテスト」を通して、「タイピング」のスキルが高い学生を炙り出して、「登録」するよう仕向けるというのなら、合理的といえるだろう。しかし、何故わざわざスキルの低い学生を「登録」させたのだろうか。そう考えると、「そんなことは言っていない」という先生の反論のもっともらしさ(plausibility)も上がるのだった。まあ、学生たちが誤解しているにしてもしていないにしても、その真相を明らかにするには、一次的なデータ、例えば講義における先生のトークの録音やトランスクリプションを検討してみるしかないのだろう。