昔だったら

承前*1

近藤まさみ(ペンネーム)「HPVワクチン接種後に起きた起立性調節障害様の症状からの回復」http://www.huffingtonpost.jp/masami-kondo/hpv_vaccine_b_14280108.html


この人のお嬢様は中一の時にHPVワクチンの接種を受け、原因不明の「倦怠感」に襲われ、「起立性調節障害」と診断された。その後も症状の改善は見られず、信州大学では「ワクチン副反応」と診断されたが、さらに「記憶障害」も併発するようになり、「認知症」の治療薬を薦められた。転機としては、先ず「地元の昔からかかりつけの診療所」 の「娘さんはワクチン被害ではないし、まして認知症の薬なんてとんでもない」という助言。そして、「カイロプラクティックの林先生・望月先生」。「カイロプラクティック*2というのは骨格や筋肉に対する手を使った療法なので、それと「起立性調節障害」などとの関係がよくわからないのだが、ここで強調されているのは寧ろ食事療法或いは食事の改善であるようだ。ただ、「カイロプラクティックの林先生・望月先生」と出会って数か月で、これまで何年間も改善の兆しが見えなかった「起立性調節障害」みたいな症状が全て消えてしまったのだという。
起立性調節障害」に関しては、例えば、


田中英高「起立性調節障害http://www.jisinsin.jp/detail/01-tanaka.htm
起立性調節障害Support Group「起立性調節障害 ( OD : Orthostatic Dysregulation ) とは?」http://inphs-od.com/symptom/menu_01/
起立性調節障害の原因:子供を襲う5つの精神的ストレス」http://futoko-support.com/cause-of-od/
起立性調節障害が思春期に多い原因:中学生高校生のストレス」http://futoko-support.com/adolescence-od/


さて、全く別のことを考えてしまった。不定愁訴というか、原因のよくわからない様々な症状。「起立性調節障害」にしても、「有病率は、小学生の約5%、中学生の約10%」だという(田中英高)。要するに、決して珍しくはない病気であるわけだ。伝統社会でも、そのような症状を呈する少女はそれなりに存在したのだろう。その中でも、特に激しい症状を呈する少女は巫病と解釈されたということもあったのでは? 最初に言及した近藤さんのお嬢様も、もし沖縄とかに住んでいたらユタになっていたかも知れない。
さらに別のこと。伝統社会では原因不明の症状は狐などの霊の仕業と見做されることもある。これには2通りあって、霊の自発的な暴走とされる場合もあれば、特定の誰かが狐などを操っているという陰謀理論(!)の場合もある*3。症状の原因として狐が設定されることによって、少なくとも〈無意味〉から救われることはできる。もしかしたら、「ワクチン」というのも現代的な狐のようなものかも知れない。「HPVワクチン」という原因が設定されることによって、原因不明の倦怠感や痛みというカオスに意味的な秩序がもたらされる。ただ、伝統社会においては原因の特定がもたらされると同時に治癒ももたらさせることになってはいたけれど、現代社会ではそうもいかないようだ。