既に(やっと)初公判

承前*1

朝日新聞』の記事;


元少女側、無罪を主張 精神障害理由に タリウム殺人

2017年1月16日11時38分

 名古屋市内のアパートで2014年、女性を殺害したほか、12年には仙台市で同級生2人に劇物「硫酸タリウム」入りの飲料水を飲ませたなどとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元少女(21)の裁判員裁判の初公判が16日、名古屋地裁(山田耕司裁判長)で始まった。

 元少女は罪状認否で、同級生2人に対する殺意を否認した。弁護側は、元少女には発達障害精神障害があり「専門的治療が必要だ」として、家裁による検察官送致の決定は違法と主張し、公訴棄却を求めた。

 元少女の実名は非公表で審理は始まったが、この日の法廷では、証言台と傍聴席の間についたては設けられなかった。

 争点は、公判前整理手続きで元少女責任能力の有無に絞られた。元少女は女性の殺害行為を否認しなかったが、弁護側は公判で「犯行当時、元少女精神障害を発症し、行動を制御する能力がなかった」と述べ、全ての事件について無罪を主張した。

 元少女は19歳の大学生だった14年12月7日、名古屋市内の自宅アパートで森外茂子(ともこ)さん(当時77)を殺害▽同月13日、仙台市内の住宅の郵便受けに火を放ち、住民女性らを殺そうとした▽高校2年生だった12年5〜7月、同級生の少年と少女(いずれも当時16)の飲み物に硫酸タリウムを混ぜて殺害しようとした――などとして、殺人や殺人未遂の罪などで起訴された。

 名古屋地検は精神鑑定を行い、家裁送致後の名古屋家裁も鑑定を実施。地検の鑑定は「責任能力がある」としたが、家裁の鑑定では「責任能力がない」と判断は分かれた。

 家裁は地検の鑑定などを踏まえ15年9月、検察官送致を決めた。決定要旨によると、家裁は元少女に精神発達上の障害や家庭環境などに一定の問題があったと認めたが、「責任能力に問題はなく影響は限定的」とした。

 審理は計20回で、判決は3月24日を予定している。
http://www.asahi.com/articles/ASK1D7DS2K1DOIPE036.html

タリウム娘、もう(やっと)「初公判」か。でも、タイトルにある「タリウム殺人」というのはミスリーディング。「タリウム」を使った事件は「殺人未遂」だからだ。争点は「責任能力」か。そもそも「責任能力」というのがマジック・タームと化して、よくわからないということがあるのだが、「名古屋地検」と「名古屋家裁」で「責任能力」についての判断が「ある」か「ない」かで分かれているということだけど、「ある」か「ない」かというふうにディジタルになっていることに相当の如何わしさを感じる。それは大小とか強弱といったアナログな連続体として理解されるべきではないのだろうか。法的にも「責任能力」が弱いことを示す「心神耗弱状態」というのがある筈ではないか。「心神耗弱状態」では免責はなく、それどころか情状酌量の対象にもならないようだけど*2