千石保

朝日新聞』に載ったベタ記事;


日本青少年研究所所長の千石保さん死去

2016年10月29日00時59分


 千石保さん(せんごく・たもつ=元財団法人日本青少年研究所所長、元東京高検検事)が21日、心不全で死去、88歳。葬儀は近親者で行った。11月に「しのぶ会」を開く予定。
http://www.asahi.com/articles/ASJBX5T4QJBXUTIL05J.html

この書き方だと、わかる人にはわかるけれどわからない人にはわからない。新聞に死亡し記事が出る程のセレブらしいけど、この人誰? という感じだろう。
私は(専攻の関係もあって)この千石氏の本は幾つか読んだり・収集したりしてはいた。例えば、『日本の小学生』、『中国人の価値観』、『「まじめ」の崩壊』、『「モラル」の復権*1。など。要するに、「若者論」を中心に研究していた人。また、右系の人々やメディアが発信する、昨今の若者はしつけや規範意識が緩いぞという所謂〈若者バッシング〉の言説において〈論拠〉として参照されることも少なくなかったと思う。ただ、この人が誰なのかということは、正直言って(私には)よくわからない。社会学とか心理学系の人ではなく元検事なんだと知って、驚いたことがある。家庭裁判所関係の人でもない。検察を退職し個人研究所を設立して、その評価はともあれ、「若者論」を40年近くも発信しつづけているというのは、学術的であれイデオロギー的であれ個人的であれ、相当のパッションがなければできない筈。遺憾ながら、そのパッションはわからない。
「まじめ」の崩壊―平成日本の若者たち

「まじめ」の崩壊―平成日本の若者たち

「モラル」の復権―情報消費社会の若者たち

「モラル」の復権―情報消費社会の若者たち

「騙す方が悪いのか、騙される方が馬鹿なのか」http://voyage-log.seesaa.net/article/114820097.html


千石氏に対する辛辣な批判ではあるが、上で触れた持続を支えるパッションには迫っていないようだ。

*1:See eg. 高橋朝美 「千石保 『「モラル」の復権』 (1997 サイマル出版会)」http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/socio/lab/koudoku/98/tomomi.html 富山大学の学生さんのレポート