「留年」や「中退」

京都大学カウンセリングルーム「留年について」https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/ryunen.html *1


先ず「現在の日本の社会において大学というシステムは、一定数の留年や退学を生み出すようにできているものなのだ」、京都大学「大学全体ではおおよそ2割の学生が留年しています」と、「留年」というのはそうレアなことじゃないということを示している。「カウンセリングルーム」といいつつ、心理学的というよりは社会学的(デュルケーム的)だ。興味深いのは「留年がさらに留年を呼ぶという悪循環」の指摘。これは、


留年からひきこもりへというパターンを避けましょう。生活のリズムを建て直しましょう。大学の外でもいいので、どこか出かけて活動できる場を持ちましょう。アルバイトでも、ボランティアでも、趣味の活動でもいいです。本業の領域とは無関係の資格や検定に取り組むのもいいでしょう。
 とても憂うつだったり挫折感に打ちひしがれているときは、ひきこもって休むことも必要です。けれども、ある程度休んで、ちょっと元気が回復してきたかなと感じたら、何か活動を始めることを考えてください。ひきこもりの長期化は、悪循環を加速してしまいます。
 そうした普通の生活を続けながら、元気が出てくるにつれて、ぼちぼち大学について考えていきましょう。
という提案とともに、「留年」だけではなく、失恋や失業など、これまでのルーティンが切断され・自己評価の極端な低下を余儀なくされている人、或いはそういう人が身近にいる人にも参考になるのではないかと思う。
ただ、「留年」にはここには言及されていない心配が付き纏っているということはあるんじゃないだろうか。奨学金が打ち切られたり、親からの仕送りが止まってしまうのではないかという経済的な懸念。
「中退」を巡っては、「中退したら人生が終わりだとか、破滅だとかいうわけでは決してない」というのは勿論そうなのだが、「中退」か続行かという二者択一をずらしていくことが重要なのではないかとも思う。実際、休学という選択肢もあるわけだし、中退したとしても将来復学することは十分に可能な筈だ。

*1:Via キャリコネ編集部「「留年は多くの人が経験するごく普通の出来事です」 京大が学生に向けたメッセージが優しすぎると話題」https://news.careerconnection.jp/?p=28118