「小学生英語」

水次祥子「トランプの小学生英語が米国民にササる訳」http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160527-OYT8T50012.html


ドナルド・トランプ*1の英語を巡って。
曰く、


米国人からいわせると、トランプ氏の話し言葉は「ブロークン・イングリッシュ」。ニューヨーク州クイーンズ生まれの同氏はニューヨーク独特の訛りも強いため、その他の地域の人にとっては聞きづらい部分もあるそうだ。きれいな英語を話さず、文法の間違いも多い。同氏が書く文章には綴りの間違いも多いため、その言葉からは知的な印象は受けない。

 米国、特にニューヨークでメディア業界の界隈に身を置いていると、ニューヨーカーたちはトランプ氏やそのスピーチをジョークのネタにして笑ったり、「なにそれ、トランプみたい」「オーマイガッ」といった会話を耳にしたりすることがある。一般企業に勤務している知人は「トランプって一体誰から支持されてるんだろうね、きっと私たちとは一生会うこともない人たちだよねと話してる」と言う。

 トランプ氏は不動産業で成功した大富豪であるため、エリートであるかのように誤解する人も多いだろうが、実際は真逆だ。同氏の支持者はブルーカラーの白人層が圧倒的に多く、簡単でわかりやすい英語を話すせいか、実は米国に住む移民労働者からも高い支持を得ていると米メディアは伝えている。


大統領のスピーチ言語を研究する米ペンシルベニア州ピッツバーグカーネギー・メロン大学・言語テクノロジー研究所が3月に発表した研究結果によると、米歴代大統領たちのスピーチで使われている英語はほとんどが6年生から8年生レベルのものだ。そして、肝心のトランプ氏の英語は、中でも最もレベルが低く、6年生をやや下回るという。

分析対象となったのは共和党のトランプ氏、クルーズ氏、ルビオ氏、民主党ヒラリー・クリントン氏、バーニー・サンダース氏の主要候補5人。彼らはいずれもごくシンプルな英語を使っているのだが、その中でもトランプ氏の使う英語は誰よりも簡単らしい。

 例えば同氏がスピーチでよく使う「win(勝つ)」という単語は3年生で覚える単語、冒頭で紹介した文に何度も出てくる「again(再び)」は1年生で覚える単語だそうなので、小学校低学年の子供でもかなりの部分が理解できるだろう。

 同研究所は今回の大統領候補と過去の大統領の英語レベルも比較している。それによると、スピーチで使っている文法に関してはエイブラハム・リンカーン大統領が11年生(高校2年生)レベルと最も高く、ジョージ・W・ブッシュ大統領が5年生レベルと最も低いが、トランプ氏もその最低レベルに近く6年生をやや下回るレベルだ。

 歴代大統領のスピーチの中で最高峰のグレードと判定されているのは、リンカーン大統領が1863年11月19日に行った、かの有名なゲティズバーグ演説である。

 And that government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth.(そして、人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させない)

 この一節は、世界中に知らない人がいないだろうというくらい有名な名文であり、しかも非常に格調が高いというわけだ。

 ボキャブラリーに関しては、リンカーン大統領、ロナルド・レーガン大統領、ビル・クリントン大統領、ジョージ・W・ブッシュ大統領、バラク・オバマ大統領は少なくとも8年生(中学2年生)レベルの英語で話している。その一方で、今回の大統領候補はサンダース氏が10年生(高校1年生)レベルと最も高く、トランプ氏が7年生(中学1年生)レベルと最も低い。

また、「建前」(PC)*2からのデトックスとしてのトランプ支持;

トランプ氏は「メキシコとの国境に壁を作れ」「イスラム教徒の国内入国を完全に禁止せよ」などの過激な発言を繰り返し、メディアや共和党内からも激しく批判されることが多い。しかし、こうした発言によって支持を減らしている様子はない。

 日本は「本音と建前」の社会だが、米国も実は大変な建前社会だということをご存じだろうか。米社会で重んじられている「political correctness(ポリティカル・コレクトネス)」は、直訳すると「政治的正しさ」となるが、職業・性別・人種・民族・宗教などに基づく差別につながる表現をせず、中立的な表現や言葉を用いることだ。

 トランプ氏を支持しているのはそうした表向きばかりの、過度な正しさにうんざりしている人たちであり、その「うんざり感」は実は今の米国に充満しているのだろう。トランプ氏の存在は、そうした過剰なポリティカル・コレクトネスを治す「解毒剤」なのだ。

時間がないので、英語のソースには当たっていない。
米国に限らず、政治的レトリックとしての言語レヴェルというのはもっと調査されてしかるべきかと思う。