毒があることもあればないこともある

『ハフィントン・ポスト』に転載された『朝日新聞』の記事;


有毒魚バラハタ、築地で販売→中華料理店で6人に提供されていた どんな魚?
朝日新聞デジタル | 執筆者: 小林恵士
投稿日: 2016年04月14日 08時37分 JST 更新: 2016年04月14日 08時40分 JST



有毒魚バラハタ、中華料理店で6人に提供 築地で販売

東京都中央区築地市場で食中毒を引き起こす恐れのある「バラハタ」1匹が売られていた問題で、東京都は13日、同区で中華料理店を営業する男性が購入していたと発表した。12日夜、バラハタを蒸し魚にして2グループ計6人の客に提供した。体調不良を訴えている人はいないという。

バラハタは宮崎県産で、全長45センチ、1・2キロ。12日午前8時半ごろ、巡回中の都職員が、販売自粛を求めているバラハタに似た魚を仲卸店で見つけた。専門家らに確認するために約1時間、現場を離れた間に、同じハタ科のスジアラと思い込んだ仲卸店が4277円で販売していた。

「私が買った魚では」。男性がニュースを見て、都に電話をしたのは13日午後3時25分。都は、聞き取りや伝票などでバラハタと確認。客には男性が症状の有無を電話で尋ねたという。バラハタのシガテラ毒を食べると、頭痛や下痢などの症状が起きる。発症時間は食後1〜8時間で、都は今後、食中毒が起きる可能性は低いとみている。

朝日新聞デジタル 2016年4月13日23時42分)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/13/tsukiji-market-toxic-fish_n_9685830.html

この記事の写真を見て、金目鯛に似ているんじゃないかと一瞬思った。しかし、Wikipediaで使われている写真は全然雰囲気が違うのだった*1
さて、「バラハタ」の「シガテラ毒」については、例えば、


シガテラhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%AC%E3%83%86%E3%83%A9
厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:魚類:シガテラ毒」http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_02.html
沖縄県衛生環境研究所衛生科学班 (食品薬品)「シガテラ中毒について」http://www.eikanken-okinawa.jp/shokuG/sigatera/index.htm


天然の河豚みたいに本当に猛毒だったら、販売禁止とか無資格者による調理禁止といったことになる筈なのだが、「販売自粛」という何とも中途半端な措置である。また、沖縄では普通に食べられているのだという;


Mr Fox「【拡散希望】マスコミが有毒魚と報じるバラハタは高級魚だった! 船乗り「マスコミ報道に異議あり! バラハタはお刺身でも美味しい魚」」http://buzz-plus.com/article/2016/04/14/barahata/
6daimess「沖縄では普通に食べられているみたいだ。築地で話題になったバラハタの間違えた認識」http://matome.naver.jp/odai/2146069656781966301


この中で、「バラハタ」の毒の有無を見分ける仕方として、「有毒魚になると表面に黒い斑点が出る(有毒魚になったバラハタはヤクザと呼ぶ)」ということがいわれている。どうなのだろうか。沖縄県衛生環境研究所衛生科学班 (食品薬品)は「シガテラ毒」の有無の見分け方についての民間伝承を検証していて、その全てについて、根拠はないと断定しているのだった*2。 そこでは、「黒ずんだバラフエダイは有毒である」という伝承が検証されている。検証によれば、「赤っぽい」魚の有毒率が55%、「黒ずんだ」魚の場合は48%。但し、lこれはあくまでも「バラフエダイ」であって「バラハタ」ではない。ともかく興味深い数字だ。結局「毒の有無については、同一魚種でも地域差や個体差があるとされていて毒をもつ魚を外見から見分けることはでき」ないようだ*3。また、沖縄県衛生環境研究所衛生科学班 (食品薬品)によれば、「バラハタ」の有毒率は筋肉で27.3% 、肝臓で72.7%である*4。調理するときには当然肝臓は注意深く取り除いてしまうだろうから、問題は筋肉だろうか。この毒の確率は個人の運の強さを測るのにはちょうどいい感じなのではないだろうか。
確率ということで思い出したけれど、最近「チンチロリンハイボール」という「プロモーション」が「居酒屋」では流行っているのね*5