桜の蕾膨らめば - Living, Loving, Thinking, Again

上原しげお「イオン「特攻服を着た生徒の立ち入り禁止」福岡の卒業式シーズンが物騒すぎる」http://www.excite.co.jp/News/bit/E1457678765706.html

福岡市では中学の卒業式が終わると、少年少女は「特攻服」に着替えて、街に繰り出すという。初めて知ったのだけど、これは恒例の行事であるようだ。つまり、福岡市では、桜の蕾が膨らむとともに「特攻服」が溢れる。或いは、杉の花粉が増えて鼻の辺りが痒くなって、「特攻服」を見たら、ああ春なんだなと実感する人もいるわけだ。福岡県の場合、桜よりも梅の喩えを使った方が適切かも知れない。東風吹かば思ひ起こせよ特攻服あるじなくとも春を忘るな。いっそうのこと、「特攻服」を中学の礼服に指定して、入学式や卒業式での着用を義務化したらどうだろうか。また、博多の「三大まつり」は「どんたく」「祇園花笠」「放生会」だそうだけど*1、〈春の特攻祭り〉をそれに次ぐ第四の祭りとして観光客を誘致したらどうだろうか。
でも、「特攻服」の敷居も低くなったんだね。「特攻服」といえば暴走族。俺が少年だった頃、当時の関東の言葉でいう〈ツッパリ〉的なファッション（例えばリーゼントとかボンタンとかロング・コートのような学生服［チョーラン］とか、女子の場合だと袴のように長いスカートとか）をした奴はぞろぞろいた。でも、その中で「特攻服」を着た人、暴走族に入った人はごく僅かだった。暴走族の敷居は高かった。暴走族が恐れられていたのは、それが深夜という〈聖なる時間〉に属するものだったからだ。多くの人は、夜が明けてから、カラー・スプレイの落書きといった痕跡によって暴走族の存在を知るしかなかったのだ。上の福岡市の事例だけど、本来深夜という〈聖なる時間〉に属する「特攻服」が昼間という〈俗なる時間〉に溢れ出すわけで、まさに〈祭り〉ということなのだろうけど、それでも、所謂〈ヤンキー〉性*2というのが薄められつつも拡散していることの事例として解釈することも可能なんじゃなかろうか。最近では、マイルド・セブンもといマイルド・ヤンキーっていうんだっけ。
同じ福岡県の北九州市の話；

富下夏美*3「メガネをかけたヤンキー、見たことありますか？」http://www.excite.co.jp/News/bit/E1390227425438.html

曰く、

毎年、成人の日になると、各地の成人式の様子がネットで話題となる。私の出身地である、福岡県北九州市は特にすごい。金髪のリーゼントにド派手な袴を着た若者たちの写真には、思わず「はんぱねー」という声を漏らしてしまった。
北九州市は、ネットで「修羅の国」なんて揶揄されている通り、ヤンキーはやたらと多い。私が中高生だった2000年代前半は、彼らは一様に金髪で、スエットやセットアップを身にまとい、仲間と周囲を睨みながら歩いていた。そして夜になるとバイクで県道を爆走したり、夜のコンビニやドンキホーテ前で騒ぐのだ。最近では短髪にサングラス、ブランド物の細いジャージを着た人もいる。首都圏の不良はまた違うのだろうが、私の地元では今でもこういったスタイルが多い。

*1:See eg. http://www.din.or.jp/~barikote/haka/mtr.htm

*3:https://twitter.com/n_tomishita