何故「エナジードリンク」?

承前*1

猪瀬聖「エナジードリンク、海外の教訓生かせず」http://bylines.news.yahoo.co.jp/inosehijiri/20151222-00052703/


福岡における「カフェイン中毒死」。これは(恐らく)日本初ということらしいが、世界的にはけっこう「エナジードリンク」による死亡例があるらしい。


米国では、2012年、エナジードリンクの人気ブランドを好んで飲んでいた14歳の少女が死亡。検視の結果、カフェインの過剰摂取による心臓の不整脈が原因とわかり、遺族が情報公開法に基づいて政府の食品医薬品局(FDA)に同ブランドに関する情報を請求。その結果、過去数年間で5件の死亡事故が報告されていたことが明らかになった。

この報道をきっかけに、エナジードリンクの危険性に対する社会的関心が、一気に上昇。直後に複数のメディアが、別のブランドのエナジードリンクを飲んで死亡した例が、過去4年間で13件あったと報じた。さらにニューヨーク・タイムズ紙は、エナジードリンクを飲んだ後に、心臓発作や不整脈などの症状で医療施設の救急室に運び込まれた患者が、2011年だけで約20,700人いると伝えた。

その後、食品の安全問題に取り組む市民団体の公益科学センターが、情報公開法を使ってFDAにデータの提供を求めたところ、エナジードリンクが原因と疑われる死亡例が、これまでに少なくとも計34件あることがわかった。ただ、医療施設からの報告漏れや別の死因で処理されたケースも多数あると考えられ、同センターは、34件という数字はあくまで氷山の一角と見ている。

さらに、「エナジードリンク」規制の動きも始まっている;

エナジードリンクによるとみられる健康被害が多発していることを受け、海外では、エナジードリンクの販売を法律で規制したり、エナジードリンクの製造販売会社に対し、カフェインの影響を受けやすい子どもへの販売自粛を要請したりする動きが広がっている。

現地からの報道によると、インド政府は今年5月、人体に有害な成分が含まれていることを理由に一部のエナジードリンクの国内での販売を禁止した。EUに属するリトアニアも昨年、18歳未満へのエナジードリンクの販売を同様に禁止した。


公益科学センターは、FDAに対し、エナジードリンクに使用するカフェインの量をコーラ並みに引き下げるよう規制すべきだと訴えているほか、タバコや酒などと同様、健康への被害を警告するラベルの表示を義務付けるよう要求している。さらに、エナジードリンク内のカフェイン以外の原材料についても、健康への影響を詳しく調査すべきだとしている。

米国では、このほか、イリノイ州ワシントン州など多くの州で、未成年者に対するエナジードリンクの販売を規制する法案が議会に提出されたり、連邦議会の議員が実態調査に乗り出したりするなど、エナジードリンク健康被害の拡大を食い止めようとする動きが、政治の中からも出始めている。

エナジードリンクが死因と主張する遺族による、製造販売会社を相手取った集団訴訟も各地で起きており、すでに和解が成立したものもある。

ところで、こうした動きの前提には、「エナジードリンク」が既にポピュラーであるということがある。猪瀬氏も「若者に人気のカフェイン入り清涼飲料水「エナジードリンク」」とか「エナジードリンクは今や世界的に人気だが」という表現を使っている。しかし、何故「人気」なのかがわからないのだ。「カフェイン」を摂取したければお茶や珈琲を飲めよと誰しも思うだろう。何故、お茶や珈琲よりも「エナジードリンク」の方がイケてると思われるのか。それがわからないのだ。