代返

『産経』の記事;


 「お前のせいで留年」1日2千円で「代返」頼んだ男性から授業料脅し取る 大学生ら逮捕


 大学の授業で自身の代わりに出席を装う「代返」を頼んだ知人男性(20)に難癖を付けて現金を脅し取ったとして、大阪府警布施署は20日までに、恐喝の疑いで、大阪商業大(大阪府東大阪市)4年の男(21)=退学処分=ら2人を逮捕した。

 逮捕容疑は1月中旬、代返を頼んだ男性に「出席になってなかった。お前のせいで留年するからその分の授業料120万円支払え」などと言い、3回にわたり計約64万円を脅し取ったとしている。大阪地検が既に恐喝罪で起訴している。

 布施署によると、男は昨年9月、男性と知り合い、1日2千円の報酬で代返を依頼していた。男性は大商大の学生ではなかった。
http://www.sankei.com/west/news/150720/wst1507200018-n1.html

「大阪商業大」というと、5月に「合宿中、当時1年生の男子部員(19)を全裸にして全身に落書きし、肛門に竹串を刺したり、集団で暴行を加えたとして、大阪府警捜査1課は10日、強要や傷害の疑いなどで、大阪商業大(東大阪市日本拳法部の元主将・矢田秀人容疑者(21)=大阪市浪速区=ら3人を逮捕した」ということがあったのだった*1
だから、大阪商業大学のイメージというのはかなり悪いのだが、大学に対してネガティヴ・キャンペーンを張る義理もない。というか、上の記事、よくわからないところがけっこうあるのだ。例えば、「4年の男(21)=退学処分=」のほかにもう1人逮捕されているわけだが、そいつも大商大の学生だったのかどうか。また、「4年の男(21)=退学処分=」や被害者とはどういう関係にあったのか。また、この事件ではどういう役割を果たしていたのか。それから「大阪地検が既に恐喝罪で起訴している」というのもよくわからない。順序が逆なんじゃない? 検察が「既に」「起訴している」人間、敬称が容疑者から被告に変わっている人間を、何故警察が改めて、それも同じ罪状で「逮捕」しなければいけないの? 警察が逮捕して、書類送検し、その上で検察が「起訴」するかどうかを決定するのでは? だから、「逮捕」はかなり以前の出来事で、この記事は「大阪地検」を主語にして書かれるべきだったのでは? 「起訴」された以上、既にこいつらの身柄は警察(留置場)から拘置所に移されている筈だし。或いは、保釈されている筈。
さて、「代返」である。「代返」というのは俺にとって都市伝説のような存在なのだ。学生の立場においても、また教師という立場においても、具体的な「代返」事件というのは直接的・間接的に知らないのだ。まあ、俺の学生時代、出席を重視する講義というのは殆どなかったということはあるのだけれど。1990年代以降、大学の授業における出欠確認が強化される中で、「代返」もまた増えたということも考えられる。でも、現実には「代返」というのは滅多に起こりそうもないのだ。比較的少人数の授業、例えば語学の授業とかでは、受講生が顔見知り同士で、教師も学生の顔を覚えている可能性が高い。そういう環境での「代返」はばれてしまう可能性が高い。逆に、受講生が3桁に上るようなマスプロ講義で点呼式の出欠をとれば平気で10分や20分、授業に食い込んでしまう可能性があるので、出席カードを書かせるというのが多いのでは? それだったら、「代返」の出番はないし、出席カードを代筆させるという手口もあるけど、それは「代返」とはいわないだろう。