名前が名古屋に拉致され

『朝日』の記事;


「あなた既に転出されてますが」 私の住民票、誰がなぜ

高橋淳

2015年6月15日11時28分

 ある日突然、知らない土地に、自分の住民票が異動させられていたとしたら。そんな奇怪な出来事が静岡県富士市に住む男性の身に起こった。誰が、何のために――。なぞを追った。


■端緒、あのバイトか

 「既に市外に転出されているのですが……」

 富士市内に住む派遣社員の男性(47)は、国民健康保険への加入を申請しようと富士市役所の窓口を訪れた際、職員にこう告げられた。知らないうちに転出手続きがとられ、「市民」でなくなっていた。昨秋のことだ。

 「転出先」は名古屋市千種区のアパートの一室。千種区役所によると昨年7月15日、何者かによって男性の転入届が出され、併せてアパートの住所で男性名義の住民票の写し1通が交付されていた。窓口に来た何者かが書いた申請書類と男性名義の委任状が保管されていたが、「窓口には一日約200人が訪れるため、どんな人物だったか記憶するのは困難」(区担当者)という。

 一方、アパートの大家の男性(66)によると、転入届が出された当時、部屋は空き家で、その後もしばらく入居者はなかった。

 住民基本台帳法では、転出・転入の手続きをするのに、窓口で運転免許証など本人確認書類の提示が義務づけられている。ただ、転出手続きの場合は直接窓口にいかなくても、郵送での手続きも可能。転入の際に必要な転出証明書も郵送で受け取れる。富士市の男性のケースでは、この「郵送請求制度」が悪用されていたようだ。富士市によると、本人確認書類として男性の免許証のコピーが同封されていた。

 なぜ男性の免許証のコピーが流出したのか――。実は男性は、この出来事の約2カ月前、インターネットで見つけた「結婚式出席代行」のアルバイトに応募していた。メールフォームに名前や住所を記入して申し込み、スキャナーで取り込んだ免許証の画像も添付して送ったという。だがその後、この会社からの連絡はなしのつぶてだった。

 現在、この会社のホームページは閉鎖され、当時の電話番号に電話をしても、つながらない。ネット上では、同じ会社にアルバイトに申し込んだ人たちが「連絡がこない。だまされているのでは…」などと不安を訴える投稿を見つけることができる。

 住民票の不正異動に詳しい総合探偵社「ガルエージェンシー静岡・静岡北」の久保田久之代表は「個人情報の収集のためのダミー会社。特殊詐欺に利用する銀行口座の取得などが狙いではないか」と指摘する。第三者になりすますため、空き家を捜し、不正に転入届を出して、住民票を取得する手口で「だまされたことに気づいていない人は少なくないのでは」とみる。


■悪意もって手続き「防ぐのは難しい」

 他人になりすまして健康保険証などを取得し、消費者金融から金を借りる――。こうした目的で他人の住民票を勝手に変更する犯罪は全国で相次いだ。2008年には窓口での本人確認が法制化されたが、その後も住民票の不正異動や取得は後を絶たない。
(あと、続くらしい)
http://www.asahi.com/articles/ASH6B03G3H69UTPB01H.html

「結婚式出席代行」ってどういう仕事なのだろうか。
それはそうとして、先ず問題になるのはネット広告の信頼性と責任だろう。紙媒体の場合だと、多くの人はそれぞれの媒体の〈格〉を暗黙の裡に了解しており、そうした媒体の信頼性を広告の信頼性を判断する上でのヒントにしている。だからこそ、〈一流〉と思っていた媒体に載った広告に騙されたと思った時のショックは大きくなるわけだし、〈三流雑誌〉に載った広告に騙されても三流雑誌の広告を信じたお前が阿呆! という仕方で処理されたりする。例えばアルバイト情報なら、『アルバイト・ニュース』か『フロム・エー』でしょというのは故無きことではない。ネット広告の場合、そうした紙媒体では有効な常識が利かないということはある。また、広告の出され方が紙媒体とは根本的に違う。サイトのオーナーも広告には直接関知しないことも多い。言ってみれば、Googleアルゴリズムが勝手に広告打ってるということになるわけで。紙媒体で、今回の「結婚式出席代行」のような詐欺広告が掲載された場合、刑事責任はどうかわからないが、『アルバイト・ニュース』だろうが『朝日新聞』だろうが『産経新聞』だろうが、道義的或いは社会的な責任が問われることは間違いない。どっかの新聞は、リチャード・コシミズレイシズム本の広告の件で社長自らが「おわび」しなければならなかったわけだ*1。これと同じように、ネット広告の責任を問うということはできるのだろうか。なお、ネット広告の信頼性を確認するにもGoogle様に依存することになるようだ。その広告主を鍵言葉にして検索をかけ、その評判を探るとか。
ところで、千種区役所の担当者は、「窓口に来た何者」かについて、「 窓口には一日約200人が訪れるため、どんな人物だったか記憶するのは困難」と言っている。たしかに、「記憶するのは困難」だろう。しかし、そいつの素性を巡る情報は押さえているわけでしょ。その時に記入した氏名、住所、電話番号。また、その際に「本人確認」のために提示した身分証明書に関する情報(例えば、パスポート番号とか)。

ところで、詐欺における日中協力の話。少し前に摘発されたのは広東省珠海だったけど*2、今度は福建省
『朝日』の記事;


「中国から詐欺の電話かけた」 警官装い詐取容疑で逮捕

2015年6月16日16時30分


 中国から警察官を装う電話をかけ、大阪府内の70代女性からキャッシュカードや現金をだまし取ったとして、府警は15日、神戸市長田区西尻池町3丁目の職業不詳、安田力(つとむ)容疑者(53)を詐欺と窃盗の疑いで逮捕し、発表した。「中国・福建省のマンションで詐欺の電話を繰り返しかけたが、被害女性は覚えていない」と供述しているという。

 捜査2課によると、安田容疑者は日本にいる仲間の男らと共謀して2013年11月末、中国から警察官を装う電話をかけ、キャッシュカードを詐取し、150万円を引き出して盗んだ疑いがある。

 中国の公安当局は、仲間とみられる詐欺グループの日本人と中国人の計10人以上を拘束。府警は、近畿や関東など11府県30人超が中国からの同様の電話で約1億4千万円をだまし取られ、大半が地下銀行を通じ中国に送金されたとみている。
http://www.asahi.com/articles/ASH6H65STH6HPTIL02M.html