中澤夕美恵「なぜ親は子に「キラキラネーム」をつけるのか? 正しい名前の付け方を"お坊さん"から学んでみた」http://ure.pia.co.jp/articles/-/24119 http://ure.pia.co.jp/articles/-/24119?page=2 http://ure.pia.co.jp/articles/-/24119?page=3
今年の7月の記事。最初の方では、所謂「DQNネーム」或いは「キラキラネーム」*1隆盛の歴史を金原克範『〈子〉のつく名前の女の子は頭がいい』*2を参照しつつ、辿っている。これは取り立てて新しい情報ではないし、半分くらいは眉に唾をつけておくべきだろう。日本の名前はそもそもキラキラしていたということを念頭に置かなければならないし、どうせ時間を遡るなら、江戸時代後期の国学の擡頭と万葉仮名の復権まで遡ってよ、といいたい。
“子”のつく名前の女の子は頭がいい―情報社会の家族 (新書y (045))
- 作者: 金原克範
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- 発売日: 2001/11
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なるほど! というのと、そうかよ? というのを同時に感じた。先ず、政治家でも会社経営者でも作家でも俳優でも歌手でもない一般人の名前をサーチ・エンジンで容易く検索することなんかできるのだろうか。何度か、あの人は今? 的な興味半分で、高校や大学時代の友人・知人を検索したことがあるのだけれど、尽く失敗した。先ず、女性の場合は、夫婦同姓制度によってGoogleから保護されているといっていいだろう*3。そうでなくても、上述のようなセレブではなく、犯罪の容疑者や裁判の被告にもなったことのない平凡で善良な市井人を実名で検索するのは至難の業である。検索すると最初に姓名判断のサイトが出てくる人名に対して何と言ったらいいのだろうか。やーい、無名人め! だろうか。それとも、Googleから逃れられてよかったね! だろうか。
一方で、今年初め、ネットではオーソドックスな名前「逆DQNネーム」が話題になった。SNSの普及により、あえて人気ランキング上位にあるような「よくある名前」をつけようという動きもある。これは、個人名でキーワード検索される機会が増えたのが原因。本人が特定されないように個性的な名づけを避けるのだそうだ。
http://ure.pia.co.jp/articles/-/24119?page=3
多数の中に紛れ込むということで問題になるのは名前というよりも苗字なのではないかと思った。インターネットとか関係なしに。鈴木章浩というセクハラ都議について、「惜しむべきは、佐村河内とか小保方と違い、鈴木という苗字にインパクトが全くないことだろうか」と書いたことがある*4。鈴木という人、或いは田中という人、或いは小沢という人は鈴木章浩が何しようが、田中角栄が何しようが、小沢一郎が何しようが、涼しい顔をしていることができるだろう。でも、佐村河内さんとか小保方さんの場合はそうは烏賊の金玉。名乗った瞬間に、守と親戚なの? 晴子と親戚なの? って訊かれる可能性大だよ。俺も以前「苫米地」さんに失礼なことをしたことがあるから。御法川信英という政治屋がいる*5。例えば、「自民党の御法川信英財務副大臣(衆院秋田3区)の後援会が、選挙区内の有権者にカレンダー3千部を無料で配っていたことが、後援会への取材でわかった」というような報道があると*6、そういえばみのもんた*7の本名って「御法川法男」だったよね、親戚かしら? と検索する人もいるのでは?*8。 偶々珍しい苗字を持ってしまった場合、同じ苗字の人が何かやらかす度にネタにされるということを覚悟しなければならない。
最後に、
という。個人的にいえば、坊さんであれ俗人であれ、あまりよく知らない人に子どもの名前をつけてもらうのはよした方がいいと思う。つけてもらうなら、親がよく知っていている人にすべきなのでは? そうでないと、霊的なリスクが高くなる。カトリック文化圏では、名付け親は子どもにとって実の親に準ずるものとされ、その間にはインセスト・タブーまで成立してしまうのだった。
お坊さんによるQ&Aサイト「hasunoha」*9に伺うと、多くの寺が檀家でなくても相談を受付けてくれて、安産祈願を行っている寺であればその場で命名を依頼できることもあるそうだ。生年月日や字数をもとに名前を決めたり、アドバイザーとなって親と一緒に考えたりとスタイルは寺によって異なる。明確な相談料はないので、お坊さんから名前を授かったら気持ちで御礼を包む。
「私が名づけをしたお子様が、何十年か後に自分の言葉でありがとうと言ってくれれば、私の場合はそれでいいです。それがいいです」とは正蓮寺の渡邉 元浄さん。
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070906/1189061438 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071017/1192588766 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090718/1247899601 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101205/1291560890 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101230/1293684644 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111028/1319820049 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111111/1321040014 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130805/1375655816 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131016/1381886490
*2:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140629/1404056302
*3:See eg. http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131023/1382498882
*4:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140626/1403716598
*5:http://minorikawa.jp/p/ See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E6%B3%95%E5%B7%9D%E4%BF%A1%E8%8B%B1
*6:http://www.asahi.com/articles/ASGBR5TXBGBRUBUB00Y.html
*7:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061204/1165208511 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070629/1183131352 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081127/1227791421 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100215/1266163857 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140914/1410659469 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141019/1413647417
*8:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%3A%E5%BE%A1%E6%B3%95%E5%B7%9D%E4%BF%A1%E8%8B%B1によると、「親戚」かどうかは断定できない。