昔の名前で出て下さい

musinone*1「神戸 の「聖トマス大学」学生がゼロになり廃校が決定」http://matome.naver.jp/odai/2141503055851757301


兵庫県尼崎市の「聖トマス大学*2が来年3月に「廃止」されるというニュースを読んだとき、一瞬「聖トマス大学」なんて知らないなと思った。よく読んでみると、昔は「英知大学」といっていた。あ、それなら知ってる。「英知」 は知っているけど「聖トマス」は知らなかったという人は俺だけではなかったみたい*3。「聖トマス大学」は改称の努力も虚しく「廃止」ということになったわけだ。ここに限らず、改革の一環として大学名や学部名を変えた大学というのは少なくない。多くの場合、国際だの情報だのいったキラキラした言葉を含んでいるわけだが。はたして大学名改称の効果というのは認められているんですかね。名前を変えたことによって、認知度が向上したり応募者が増加したりしたということはあるの? さて、「聖トマス」だが、勿論これはスコラ哲学の巨匠トマス・アクィナス*4に因む。これはなかなかマニアックな改称だったのでは? 「英知」というのは学校名としてはありがちな抽象的な徳目のひとつである。だから、「英知大学」というのを聞けば、大方の人は(強い印象は受けないけれど)何となくぴんとくる。「聖トマス」の場合、多くの異教徒にとっては、「聖トマス」っていったい誰なのさ? という感じだよ。「聖トマス」にぴんと来る人というのは、カトリックの信者か、哲学に関心のある人だけなのでは? ところで、Wikipediaは、「改称の理由は、カトリック系大学の国際的な組織である「聖トマス・アクィナス大学国際協議会=IC-USTA(International Council of Universities of Saint Thomas Aquinas)」の正会員となるために「聖トマス」の名を大学名称に入れる必要があったためとされている」と記述している*5。その典拠として、聖トマス大学教授でカトリック司祭の松本信愛師の「「英知大学」から「聖トマス大学」へ」という文章を挙げている*6。しかし、そこには(改革の一環として)「「聖トマス・アクィナス大学国際協議会=IC-USTA(International Council of Universities of Saint Thomas Aquinas )」という、カトリック大学の世界的グループ(5大陸にまたがり、約40大学が対象)に加盟する 」とは書かれているけど、そのために「「聖トマス」の名を大学名称に入れる必要があ」るなどとは書かれていない。IC-USTAに関するWikipediaのエントリー(英語版)にはその会員リストがある*7。やはりThomasやAquinasがついている大学が多いが、ついていない大学もある。例えば、Universidad Católica Argentina*8とかAustralian Catholic University*9。日本では「聖トマス大学」とともに愛媛県松山市の「聖カタリナ大学*10も会員である。
今後、経営難に陥って「廃止」になったり、他大学へ吸収合併されたりする大学は増えるのだろう。「幸福の科学大学」の設置は却下されたばかりか、「文部科学省は今後最長5年間、この学校法人による大学の設置を認めない」という方針を示している*11。これからもしかして、幸福の科学としては経営難に陥った大学の買収という戦略に転換するのかも知れない。かつてオウム真理教が田舎の短大の買収を画策していたという話を聞いたことがある。