悪意もルサンティマンも見当たらず

『毎日』の記事;

<高1同級生殺害>遺体の一部切断 女子生徒逮捕 佐世保

毎日新聞 7月28日(月)2時30分配信


 長崎県警は27日、長崎県佐世保市の高校1年、松尾愛和(あいわ)さん(15)を工具で殴るなどして殺害したとして、同じ高校の同級生の女子生徒(15)を殺人容疑で逮捕した。遺体は女子生徒が1人で住むマンションの室内で見つかり、頭部と左手首が切断されていた。女子生徒は「すべて私が1人でやりました」と容疑を認めており、県警が経緯や動機を調べている。


 逮捕容疑は、26日午後8時ごろ、佐世保市のマンションの女子生徒の自宅の部屋で、後頭部を工具で多数回殴り、ひものようなもので首を絞めるなどして殺害したとしている。

 県警によると、遺体はベッドの上にあおむけの状態で、切断された頭部と左手首も一緒に置かれていた。切断に使ったとみられる刃物もベッド上で見つかり、頭を殴ったとみられる工具はベッドの下にあった。首を絞めたとみられるひもも含めて押収。室内には複数の刃物があったという。

 松尾さんは26日午後3時ごろ、「女子生徒の部屋に遊びに行く」と言って自宅を出た。午後6時40分ごろ、母親に「午後7時ごろには帰る」とメールがあったが帰宅しないため、松尾さんの母親が女子生徒の母親に問い合わせたところ、女子生徒は母親に「松尾さんは午後6時半ごろには帰った」と答えたという。

 携帯に電話しても出なかったため、松尾さんの父親が午後11時ごろ「友達の家に行ったまま帰ってこない」と110番した。27日午前3時20分ごろ、県警佐世保署員らがマンションに行くと、女子生徒は部屋の中におり、両親の呼び掛けで出てきた。その際、署員に松尾さんの所在について「知らない」と答えたが、別の署員が部屋の中で松尾さんの遺体を見つけた。

 捜査関係者によると、女子生徒は過去に小動物の解剖を繰り返すなどの問題行動があったといい、女子生徒の精神状態なども調べる。県警によると、女子生徒は佐世保市内に住む家族と4月から別居していた。【大場伸也】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140728-00000004-mai-soci

スポニチ』の記事;

「解体してみたかった」同級生殺害 腹部も切り開かれていた…

スポニチアネックス 7月29日(火)7時1分配信

 長崎県佐世保市のマンションで市内の高校1年松尾愛和(あいわ)さん(15)が遺体で見つかった事件で、殺人容疑で逮捕されたこの部屋に住む同級生の女子生徒(16)が「人を殺してみたかった」「遺体を解体してみたかった」という趣旨の供述をしていることが28日、分かった。遺体は首と左手首が切断されていた以外に、腹部が大きく切り開かれていたことも判明。松尾さんの通夜はこの日、市内で営まれた。

 松尾さんの遺体は女子生徒の部屋のベッドに仰向けに寝かされ、首と左手首が切断されていたほか、腹部が大きく切り開かれていたことが判明。女子生徒は取り調べに、「人を殺してみたかった」「遺体を解体してみたかった」という趣旨の供述もしているという。

 遺体のそばからハンマーやのこぎりが押収され、女子生徒は「自分で買った」と供述。県警は頭を殴り、遺体を切断するために事前に準備したとみて、市内のホームセンターに購入履歴を問い合わせるなどし入手経路など裏付けを進めている。また、女子生徒は自宅マンション前で発見された当時、服に血痕などはなく、県警は着替えたとみている。司法解剖の結果、死因は窒息死だった。

 女子生徒はこれまでの取り調べに「全て自分一人でやった」と殺害を全面的に認め、さらに殺害に至った経緯を話し始めている。殺害前の松尾さんとの状況については「一緒に市内で買い物をした」と供述している。

 県警は、松尾さんを狙った理由や、防犯カメラの映像や女子生徒のスマートフォンの記録を解析して事件前後の足取りを調べるとともに、女子生徒の殺害当時の心理状態を解明するため、精神鑑定を求めることも検討している。反省の言葉は出ていないという。

 女子生徒の知人らによると、実母が昨秋に亡くなり、父親はその後、再婚。女子生徒は海外留学予定で、4月からマンションで1人暮らしを始めた。知人は「新しいお母さんになじめなかったようだ。家にいづらくなり、1人暮らしを始めたと思う」と話した。小学生時代から父と実母の影響でスポーツに打ち込み、好成績を残す一方、小学校の給食に異物を混ぜる問題行動を起こしたという。県警によると、小動物を解剖したこともあった。女子生徒はこの日、16歳の誕生日を迎えた。

 友人だった2人の間に何が起こったのか。県警は今後、2人が通っていた佐世保市の高校の教職員や生徒らから事情を聴くなどし、動機を含めた事件の解明を急ぐ。

最終更新:7月29日(火)7時1分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140729-00000032-spnannex-soci

『産経』の記事;

佐世保・高1殺害 少女、母の死後に生活激変

産経新聞 7月29日(火)7時55分配信


 長崎県佐世保市の高校1年、松尾愛和さんがクラスメートの少女に殺害された。周囲が「普通の友達」(高校関係者)とみていた2人の関係。少女は28日、長崎地検佐世保支部に送検されたが、冷静で取り乱した様子はなく反省や悔悟の言葉はまだ出ていないという。「人を殺したい」から死体加虐までエスカレートした犯行に、少女を駆り立てたものは何か。

 「あまり笑わない。頭が良すぎるのか、少し変わっていた」。幼少期から知る女性は、少女の印象をそう語った。

 最初の“異変”は、小学校6年のときだった。児童2人の学校給食に水で薄めた漂白剤を混ぜ、問題行動が発覚すると両親と素直に謝罪した。中学校に入学すると、小動物の解剖に夢中になっているという噂が広まり、「少し浮いた感じになっていた」という。

 高校は、国公立大だけでも毎年のように100人以上の合格者を出している佐世保市有数の公立に、東大を目指して進んだ。父親の影響で始めた冬季スポーツだけでなく、地元のピアノコンクールや美術作品展で入賞するなど芸術的な才能にも恵まれていた。父親は地元の名士という。関係者は「誰もがうらやむような名士の一家。生徒も幸せそうに見えた」と話す。

 「文武両道で多才」の一方、「暗く、変わった子」という極端な素顔。実母の死→父親の再婚→1人暮らし−と生活環境も激変していった。

 昨年10月に他界した実母とは近所で一緒に犬の散歩をするなど慕っていた様子だった。今年冬、父親とともに年代別の全国規模のスポーツ大会に出場した際、少女は「母のためにも頑張る」と誓っていたという。

 少女は実母の死に感情を表に出すことはなかったが、落ち込んでいる様子だった。父親の再婚についても、「多感な年頃だけに複雑だったのではないか」と気遣う人もいる。

 少女が事件現場のマンションに移り住んだのは今年4月。9月から海外留学する予定で自ら1人暮らしを希望し、父親は「留学の練習」ということで許可したという。だが、「平日昼間から自転車でぶらぶらしていて、高校生とは思えなかった」と、マンション住民は証言している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140729-00000106-san-soci

佐世保と言えば、2004年に小学校6年生の女の子が同級生をカッター・ナイフで殺害するという事件が起きている。2004年の事件については、たしか三浦展が「ファスト風土化」*1という文脈で言及していた筈だが(『ファスト風土化する日本』)、今度の事件についてはどのようにコメントするのだろうか。まあどうでもいいことだ。というか、私が*2がこの事件にショックを受けたのは「風土」云々とは関係なく、殺人者においては犠牲者に対する悪意もルサンティマンも嫉妬も、或いは性的な陶酔も(今のところ)見いだされていないことによる。また、この殺人の営利性も、或い宗教性やイデオロギー性も(今のところ)見いだされていない。さらに、この殺人の(物理的な意味での)ダーティさ。殺人者は犠牲者の頭部や手首を切断しているという。自らの身体を犠牲者の血などによって汚しながら。軍人とかテロリストとか死刑執行人(刑務官)といった殺しの専門家にとっても、(返り血を浴びるほどの)流血どぼどぼは避けるべきものであって、逆になるべくPTSDを起こさないクリーンな殺し方が開発されている筈である。或いは、流血どぼどぼの不快感や恐怖を乗り越えるべき宗教的・イデオロギー的妄想の注入。あの酒鬼薔薇*3だって殺人を犯すに当たっては自ら〈神〉を捏造しているのだ。
ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)

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