
- 作者: 多田智満子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1996/03
- メディア: 新書
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多田智満子『魂の形について』*1を読了したのは数日前。
冒頭に曰く、
1 たま あるいは たましひ
2 何を以て羽翼有るや
3 白鳥 黒鳥
4 漂えるプシュケー
5 オシリスの国
6 ラーの舟
7 蜂蜜あるいはネクタル
8 魂の梯子と計量
9 心臓から蓮華へ
あとがき
魂の「表象」について。また、これは死者の「表象」についての省察でもある。「生者の肉体に内在しているかぎり、霊魂は形象として考えにくいし、また、目に見える可能性もありえない」(p.10)。日本的な「玉」(「たま」)としての霊魂、さらには昆虫や鳥などの「羽」のあるものとしての霊魂が語られる。第4章以降、話は希臘や埃及といった古代地中海世界が中心になるが、死者「表象」論という色彩が強くなる。第8章では、古代埃及・希臘を基礎とした基督教やイスラームという中東的一神教が視野に組み込まれ、最後は「心臓」=「蓮華」という仏教・ヒンドゥ的な表象が論じられて、本書は締め括られる*4。
霊魂について語るといっても、もちろん宗教にかかわるわけではなく、また、哲学的な問題に立入るわけでもない。ここで話題となるのは魂そのものではなく、魂の形である。というよりはむしろ、昔から人々が魂なるものを、具体的にどんな形で表象してきたか、ということである。そして具体的にとは、つまり、丸いとか、羽根が生えているとか、あるいは形がなくて風のようだとか、そういう単純な意味だと考えて頂いて差支えない。また、形はおそらく質料*2に対する形相*3の意味であろう、と深読み、あるいは誤解して頂いてもまた一向に差支えない。(p.5)
多田智満子について;
Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E7%94%B0%E6%99%BA%E6%BA%80%E5%AD%90
「多田智満子」http://homepage3.nifty.com/anti-podes/tada.html
佐藤弓生「私の好きな詩人 多田智満子」http://shiika.sakura.ne.jp/beloved_poet/2012-12-07-12333.html