- 作者: 野口冨士男
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1989/11
- メディア: 文庫
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- 作者: ウンベルト・エーコ,和田忠彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/02/16
- メディア: 文庫
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野口冨士男『私のなかの東京』とウンベルト・エーコ『小説の森散策』*1を読了。
1976年から78年にかけて『文學界』に断続的に掲載され、単行本としては1978年6月に刊行されたもの。この文庫版の初版は1989年。
外濠線にそって
銀座二十四丁
小石川、本郷、上野
浅草、吉原、玉の井
芝浦、麻布、渋谷
神楽坂から早稲田まで
解説(川本三郎)
表紙に小林清親*2の錦絵が使われている。これはちょっと誤解を招くだろう。小林清親といえば明治の東京*3。しかし、この本の中で、著者が1970年代の東京の風景を媒介にして提示しようとしているのは、主に(著者の少年時代、青年時代に中る)関東大震災前後から昭和10年代くらいまでの東京だからだ。ところで、21世紀になって、50歳をすぎた人間がこの本を読むと、私にとっての1970年代の東京と(その当時の)著者にとっての)関東大震災前後から昭和初期の東京というのが重なって読めるのだ。私にとっては、1970年代以降の東京こそがリアルな記憶やイメージを伴う東京であり、それ以前の東京は他人の話の中の東京。
1992年から1993年にかけてハーヴァード大学で行われた連続抗議の記録。受容美学を踏まえた上で、可能世界としての小説テクストを論じるということになるだろうか。もし1990年代にこの本を読んでいれば、私の思考は、そして人生はけっこう変わったものになっていたのかも知れないなと思った。
日本語版序文
1 森に分け入る
2 ロワジーの森
3 森のなかの道草
4 可能性の森
5 セルヴァンドーニ街の奇怪な事件
6 虚構の議定書
原註
訳者解説
索引
さて、最後の「虚構の議定書」では、『シオンの賢者の議定書』*4捏造のプロセスが(その前史を含めて)詳論されている。これはflashforwardとして興味深い*5。
*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140630/1404104626
*2:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E6%B8%85%E8%A6%AA
*3:実際、彼は大正5年に没している。
*4:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091013/1255405021 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101223/1293085550 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110703/1309670384 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130527/1369670626
*5:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101223/1293085550 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111203/1322895817 Stephen Moss “Umberto Eco: 'People are tired of simple things. They want to be challenged'” (http://www.guardian.co.uk/books/2011/nov/27/umberto-eco-people-tired-simple-things ), “Umberto Eco’s Cemetery of Prague creates controversy”(http://www.umbertoeco.com/en/news/umberto-eco-s-cemetery-of-prague-creates-controversy-113.html)[originally http://threemonkeysonline.com/book_blog/2010/novels/umberto-ecos-cemetery-of-prague-creates-controversy]