「不適切」なデータ(メモ)

某人に教えていただく。
『朝日』の記事;


元教授、論文撤回を呼びかけ アルツハイマー研究

渡辺周、青木美希

2014年3月21日06時00分


 アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」の臨床研究データに基づいて米国学会誌で発表した論文について、筆者の1人である杉下守弘元東大教授が20日、データの14%に改ざんを含む不適切な例があったとして、共同筆者12人に論文撤回をメールで呼びかけた。STAP細胞の論文撤回問題*1 で揺らぐ日本の先端医療研究への信頼がさらに失われる可能性がある。

 杉下氏はJ―ADNIにデータ検証の責任者として参画する一方、認知症研究の国内第一人者で代表研究者を務める岩坪威東大教授ら12人と共同でアルツハイマー病患者の脳の特徴を探るために行うPET(陽電子放射断層撮影)に関する論文を2013年8月、米国の神経放射線学会誌に発表していた。

 杉下氏が論文発表後に新たな資料を入手し検証した結果、論文に使ったデータ274例中、14%の39例が?記憶を試す面談検査で国際的手順に合わせる目的で検査時間を改ざんした?被験者の同意を得ていなかった?被験者が基準外の年齢だった――など不適切だったことが判明したという。
http://www.asahi.com/articles/ASG3N4SY0G3NUUPI001.html

データ「改ざん」を巡っての2月の記事;

告発、動かぬ厚労省「隠蔽される」 元教授、実名で会見

渡辺周、月舘彩子

2014年2月4日08時08分

 アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」で、データ改ざん疑惑が浮上してまもなく1カ月。厚生労働省は東大に調査を丸投げし、疑惑解明に及び腰だ。「動かぬ厚労省」に業を煮やし、昨年11月に内部告発メールを送った研究者がついに実名での記者会見に踏み切った。

■「国際的信用を失う」

 「このままいくと隠蔽(いんぺい)される。心配になった」

 主要メンバーとして改ざん疑惑を見つけ、告発メールを送った脳血管研究所教授の杉下守弘・元東大教授は3日の会見で、実名を明かして真相究明を訴えるに至った心境をこう語った。

 当初は表舞台で訴えるつもりはなかった。だが、厚労省は告発メールを研究責任者の岩坪威東大教授に転送し、杉下氏が告発したことが研究者らの間に知れわたった*2。さらに岩坪教授が報道関係者や研究者らに向けて杉下氏の人格を批判し、杉下氏が人間関係のもつれから告発に踏み切ったとの見方が厚労省内や学界に広がった。

 杉下氏は告発前にも研究チーム内でデータ改ざんの恐れがあることを訴えていたが変わらなかった。厚労省に告発メールを送った後も担当者に2度会って訴えた。それでも厚労省は告発として受理せず、岩坪教授が所属する東大に調査を任せた。杉下氏は「私が告発したのは人間関係のもつれからではない。このままだと日本の研究が国際的信用を失うからだ。問題を矮小化(わいしょうか)してはならない」と憤る。

 会見に同席した小池純一弁護士は「相当なお金が投じられているプロジェクト。研究成果が国際的に生かせなくなることを恐れている」と語った。
http://www.asahi.com/articles/ASG235FX9G23UUPI009.html


昨年8月に告発、事務局が放置 アルツハイマー病研究

渡辺周、青木美希

2014年2月14日11時26分

 アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」のデータ改ざん疑惑問題で、研究チームの検証責任者らが昨年8月時点で事務局に「データの不自然な修正依頼や介入、改ざんは許されない」と内部告発をしていたことが分かった。今年1月に改ざん疑惑が報道されるまで告発は放置されていた。


 データ検証の責任者である杉下守弘元東大教授ら3人は臨床研究データが不自然に書き換えられていることに気づき、昨年8月2日に「臨床・心理合同会議」を開いて対応を協議。「データセンターから改ざん指示が出ていたことが判明した。いくつかの施設から改ざんはおかしいという声も上がっており、ADNIデータへの不信感がでている」と指摘する文書を作成し、同月9日、J―ADNIの事務局である「バイオテクノロジー開発技術研究組合」(理事長・内藤晴夫エーザイ社長)の担当部長にメールで送信した。

 組合から何の反応もなかったため、杉下氏は3カ月後の11月18日、厚生労働省に新たに告発メールを送付した。ところが、厚労省はこのメールを代表研究者の岩坪威東大教授へ転送し、朝日新聞の取材を受ける1月4日まで調査に動かなかった。杉下氏は「組合がもみ消す疑念が生じたため内密で厚労省に告発したが、それも無視された」とし、今月3日の記者会見で実名告発に踏み切った。

 同組合は「東大で調査が始まるので取材に応じられない」としている。厚労省は疑惑発覚後、岩坪教授が所属する東大に調査を依頼。東大は今月3日に弁護士ら外部6人、学内4人の計10人の調査委員会を作ったが、委員は公表していない。(渡辺周、青木美希)
http://www.asahi.com/articles/ASG2D4K3CG2DUUPI001.html

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140315/1394904519 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140318/1395108929

*2:厚労省は「転送」した担当職員を「処分」する方針を2月に示したが、実際にどうなったのかは不明。See 「告発メール転送、厚労省職員処分へ アルツハイマー研究」http://www.asahi.com/articles/ASG2G3GQPG2GUTFL001.html