曹操遺伝子

承前*1

韓暁蓉、程蘇紅「復旦100%確定曹操家族DNA」『東方早報』2013年11月12日


2009年12月に河南省安陽で曹操の墓と推定される古墳が発見されたが*2、上海の復旦大学では曹操一族のDNA分析を進めてきた。全中国の「曹」姓、「夏侯」姓、「操」姓の男性の血液サンプルを収集する一方で、歴史学者の韓昇氏は285の「曹姓家譜」を調査し、信憑性の高い8つの家譜(宗族)を抽出した。DNA分析の結果、8つのうち6宗族からは曹操の同時代に被る1800〜2000年前に発生したとされる同一のY染色体の突然変異(SNP)が発見された。さらに家譜には曹操の末裔であるという記載はないが同一のSNPを共有する3宗族が発見され、確認された曹操の末裔は9宗族になる。安徽省績渓、安徽省舒城、安徽省亳州、江蘇省海門広東省徐聞、江蘇省塩城、山東省乳山、遼寧省東港、遼寧省鉄嶺。 安徽省亳州は曹操の故郷で、曹操の祖父曹騰、父親曹嵩、長女曹憲を含む曹一族の墓がある*3。1970年代に発見された曹操の大叔父、曹鼎のものとされる歯も分析された。この研究の結果、『三国志』の記述が2つ覆されたとされる。先ず曹操の祖父、曹騰は前漢建国の元勲である曹参*4の子孫とされていたが、曹操と曹参一族とはDNA上では無関係だということがわかった。また、曹操の父親の曹嵩は「夏侯」姓でありながら宦官だった曹騰の養子になり「曹」姓を名乗るようになったとされていたが、「曹」姓と「夏侯」姓の遺伝子的な関係も否定された。また「操」姓の人々ばかりが住んでいる村が南京郊外にあり、曹操の末裔であるが「政治迫害」のために「操」に改姓したと自称しているが、今回この人たちは曹操の生物学的子孫ではないことが明らかになった*5
この記事には、肝心の曹操本人、河南省安陽で発見された遺体はどうだったのかという記述はない。別のソースによると、「河南省文物考古研究所」関係者は、そもそも復旦大学とは協力関係になく、今後も協力するつもりはないと語っている。またDNA分析の有効性についても懐疑的であると*6。また、『紅楼夢』の作者、曹雪芹が曹操の末裔である可能性が高まっている*7
See also


張烔強「曹操併非曹参之後也不姓夏侯」http://xmwb.news365.com.cn/kjw/201311/t20131112_1703068.html