「軍法会議」その他

小倉貞俊「平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の「軍法会議設置」発言」『東京新聞』2013年7月16日(Reappeared in http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9176b4654c82446c0b03ec03b8a8a12f



自民党は同党の改憲草案で、憲法9条を変更して自衛隊を「国防軍」にすることを掲げた。
それに伴い、国防軍に「審判所」という現行憲法では禁じられている軍法会議軍事法廷)の設置を盛り込んでいる。
防衛相の経験もある同党の石破茂幹事長は4月に出演したテレビ番組で、審判所設置に強い意気込みを見せた。
石破の実際の発言内容については、http://anond.hatelabo.jp/20130717171131http://d.hatena.ne.jp/yuagfo1485/20130717/1374052352も参照のこと。
さて、「軍法会議」というものの存在の意味については、それは国の中の国というか、〈治外法権〉領域を作り出してしまうことになるだろうということくらいしか考えたことはなかった。「軍法会議」の意味に関する法学者や軍事史家のコメントを引いておく;

この発言について、山口大の纐纈厚教授(歴史学)は
「戦前の軍隊の在り方自体を否定すすることから戦後日本は出発し、現行憲法がつくられた。石破発言は平和国家日本のありようを根底から覆して、戦前と同様の軍事組織の立ち上げを意図している。歴史の教訓を反故にするもの」
と話す。

 早稲田大の水島朝穂教授(憲法学)も「戦争体験世代の政治家にあった抑制は皆無。戦前の反省はどこへいったのか」と批判し、「審判所」という表現に注目する。

 「現行憲法も自民改憲草案も、76条2項で『特別裁判所』の設置を禁じている。
軍法会議はこの特別裁判所にあたるため、通常の行政機関を装った『審判所』という名にしたのではないか」

 軍法会議は現在も米英はじめ、多くの国で制度が存在する。
自国の軍人や軍属を裁くのが目的だが、戒厳下などでは民間人も対象になる。

 旧日本軍では陸海軍にそれぞれ置かれ、一審の場合には5人の裁判官のうち軍人4人、法曹資格を持つ文官1人(後に全員が軍人)で構成されていた。
平時では公開されて被告の上訴権もあり、弁護人も付いたが、戦地や戒厳下で開かれる特設の軍法会議では、それらが認められなかった。

 「二・二六事件(1936年発生のクーデター未遂事件)では一審、非公開、弁護人なしの過酷な密室審理のもと、青年将校や民間人が密室審理のまま、銃殺刑になった」(纐纈教授)

 「戦場の軍法会議」の共著がる大阪経済法科大の北博昭客員教授(日本近代史)は「軍法会議の目的は軍隊を団結させ、組織を維持することにある。
だから軍から裁判に干渉が入り、不当判決が起こるケースは少なくなかった」と語る。

 北教授が法曹資格を持つ当事者の裁判官から聞き取った不当判決の事例がある。
フィリピンで1945年2月に開かれた軍法会議で、食料調達のため、部隊を抜け出した海軍の兵士が死刑になった。
海軍刑法では交戦中の敵前逃亡罪は最高で死刑だが、このケースは戦闘中ではなかった。

 「この兵は英語が上手だったので、もし敵に捕まった際に軍の内情が知られないよう、見せしめに処刑されたようだ。
裁判官は軍上層部から圧力を受けていたとみられ、『(兵には)かわいそうなことをした』と言っていた。(北教授)

石破発言の問題点の一つは、〈有事〉を強調することによって、より身近な平時(日常)を隠蔽しているということだろう。例えばセクハラやパワハラ。世俗的な警察権や司法権の範囲外になることにより、上官にとってはどちらもやり放題ということになりかねない。再度『東京新聞』の記事から引くと、

自衛隊員の裁判に取り組んできた佐藤博文弁護士は「警務隊員も身分は自衛官で、上司の指示に従う立場。
公平性、客観性が担保されていない」と言う。
佐藤氏が担当した女性自衛官の事件では、強姦未遂に匹敵する被害だったのに、それより軽微な強制わいせつで処理された。
捜査に当たった警務隊員は女性に「上司の命令には逆らえない」と弁明したという。

 佐藤弁護士は「国防軍審判所ができれば、組織防衛のために原告の訴え自体が認められなかったり、人身御供にされたりする危険も生まれる」と案じる。
自衛隊員やその家族こそ9条によって人権を守られている」

拙blogでの石破茂への言及は一度だけだった(それも間接的)*1
さて、


渡邉正裕ワタミのブラック選挙 会社を私物化、経営企画本部が社員に渡邉美樹応援を“強制” 」http://www.mynewsjapan.com/reports/1856(Reappeared in http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/0c9e91bb32fbd417e6f17c929f0a483f


MyNews Japanの記事はいちげんさんは全部読むことができないのだが。
古典的な〈企業ぐるみ選挙〉。ただ、渡辺がキャンペーン・ソングとして、ローリング・ストーンズの”Paint It Black”を流しているのなら、そのセンスを褒めてやってもいいとは思っている。
選挙違反の手入れを受けたら暫く休業ということになるかも知れないの、ワタミで飲み食いするのは今のうち?

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070915/1189874234 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090915/1252984161 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130623/1371922007 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130706/1373065950