牧伸二

注目キーワード」のところに「牧伸二」というのが上がっていたので、何かあったのかと思ったのだが。
東京新聞』の記事;


牧伸二さん、自殺か ウクレレ漫談 橋から飛び降り


2013年4月30日 朝刊

 二十九日午前零時十五分ごろ、東京都大田区田園調布本町の多摩川に架かる丸子橋で「男性が飛び降りた」と、目撃した通行人が近くの交番に届けた。田園調布署員が川に浮かんでいる男性を発見。男性はウクレレ漫談で知られる芸人の牧伸二(まきしんじ)=本名・大井守常(おおいもりつね)=さん(78)で、病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。 

 同署は、自殺とみて詳しい状況を調べている。

 牧さんは橋から一・五キロメートルほど離れた大田区内に自宅があり、遺書などは見つかっていないという。

 牧さんは一九六〇年ごろから、世相や風俗を織り込んだ社会性の強い風刺をウクレレ演奏に乗せて歌い、最後に「あーあ、やんなっちゃった、あーああ、驚いた」で受けるオリジナル漫談で一世を風靡(ふうび)。東京演芸協会長を務め、二〇〇三年に文化庁長官賞を受賞。近年は高齢者向けの公演にも力を入れていたという。

 東京都出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は妻良子(よしこ)さん。後日、しのぶ会を開く。
◆トリの舞台出演せず…関係者ら絶句

 「人一倍責任感の強い人。舞台に穴をあけて、その揚げ句に自殺をするなんて信じられない」。突然の訃報に牧さんが会長を務める東京演芸協会の副会長で、漫談家の原一平さんは声を震わせた。

 原さんによると、牧さんは二十八日には、上野広小路亭台東区上野)での「お笑い演芸会」に出演。その後、浅草東洋館(同区浅草)の公演のトリの舞台のため、タクシーで浅草に来て、衣装を弟子に託すと、行きつけの喫茶店でコーヒーを飲み、そのまま行方知れずになった。この夜の協会理事会にも顔を見せなかった。

 喫茶店主の蒔田奉子さん(70)は「心なしか元気がなかったような気がする」と話した。

 脳出血で二度倒れ、後遺症に苦しんだが、仕事は順調だった。東京都台東区が毎年DVD化している「次世代に残したい浅草芸人」で、今年は牧さんを取材することになっていた。推薦した東洋館の運営会社「東洋興業」の松倉由幸社長は「六月に舞台撮影をすると決まったばかりなのに…」と、突然の死に言葉を失った。

 大田区内の牧さんの自宅周辺でも驚きの声が上がった。自宅に近い東急池上線雪が谷大塚駅前の商店街。行きつけだった喫茶店に、牧さんは二十七日にも足を運んでいた。男性店主(66)はプロ野球や天気について話したといい「思い詰めた雰囲気はなかったのに…」と語った。

 普段は物静かな人柄で口数が少なく、他の客を笑わせるようなこともなかった牧さん。アクリル画が趣味で、デパートで個展を開くほどの腕前だった。二十七日はいつも座る席と違い、店内に飾られた自分の作品を正面に見る席に陣取り、じっと見詰めていたのが印象に残ったという。

 近くに住む主婦(71)によると、二〇〇二年に脳出血で倒れた後は散歩が日課だった。牧さんはつえを突いて商店街で買い物したり、舞台衣装を持って電車で出掛けたりと、元気な様子だった。主婦は「リハビリに取り組んで舞台復帰した。芸にかける情熱がすごかった」と惜しんだ。 (丹治早智子、大平樹)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013043002000121.html

See also


碓井真史「ウクレレ漫談家牧伸二さん自殺報道から考える自殺予防」http://bylines.news.yahoo.co.jp/usuimafumi/20130429-00024624/