「金融緩和」=「新自由主義」?

山田厚史「「金融右翼」が円を卑しめる 「国債の日銀引き受け」は暴論」http://diamond.jp/articles/-/28308


この人の影響力がどれほどのものかは知らないのだが、反リフレ派(というかリフレ嫌い)といえば、元朝日新聞の山田厚史だろう。たしか21世紀初頭というか初期小泉純一郎政権の頃から反リフレ派的な言論を展開してきたので、一応筋金入りといえるだろう。
昨年11月に発表された上掲のテクストにて、山田曰く、


「大胆な金融緩和」を真っ先に掲げたのはみんなの党だった。消費税増税に反対し、増税なき景気回復の柱として「日銀法改正も視野に入れた積極的な金融緩和」を掲げた。

 民主党内でも同様の動きが生まれ「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」が発足し、日銀に大胆な金融緩和を迫る緊急声明を出した。自民党は谷垣総裁のころは、消費税増税に邁進し、中央銀行の独立性を侵までして金融を緩和することに慎重だった。

 安倍総裁の登場で潮目が変わった。経済への助言者が変わったからである。安倍氏が首相だった時代のブレーンが復活した。安倍首相は小泉政権の継承者だった。小泉純一郎首相は消費増税には消極的で、規制緩和と金融緩和で景気を拡大させる、という新自由主義がもてはやされた。旗手は竹中平蔵氏、その盟友でいまは脱藩官僚となった高橋洋一氏がブレーンとして活躍した。


小泉氏を引き継いだ安倍氏は竹中氏を頼りにしたが、安倍首相が政権を放り出し福田康夫政権になると竹中氏らはお役御免となる。格差拡大、貧困の増加などが社会問題になり、自民党新自由主義に距離を置いた。

 小泉路線を継承したのは渡辺嘉美氏が旗揚げしたみんなの党だった。竹中・高橋両氏はみんなの党のブレーンになった。さらに竹中氏は橋下徹大阪市長に重用され、維新の会の政策に「日銀法改正」を盛り込み、大胆な金融緩和を求めた。

 そして今回、安倍自民党がこの路線を大々的に採りいれたのである。

 安倍氏自身は「自分の考えはほとんどなく、近くにいる人の言うことをよく聞く。問題は誰の意見を聞くかだ」と、元側近はいう。

 憲法改正や教育改革などは、親しい取り巻きがいるが、経済は明るくない。そこに知恵を付けているのが首相時代に接していた竹中グループだという。

ここで問題なのは、「金融緩和」=「新自由主義」という印象を植えつけようとしていることだろう。「規制緩和と金融緩和で景気を拡大させる、という新自由主義」だって。「新自由主義」は「金融緩和」よりも寧ろ金融引き締め、緊縮財政に親和的なんじゃなかろうか*1竹中平蔵が「リフレ派」に入るかどうかというのは検索してみると、議論の対象になっている。「リフレ派」の代表人物のひとりである田中秀臣氏は「リフレ派」に入れているけれど、

竹中、中川、高橋三氏はリフレ派よりも「上げ潮派」の呼称がふさわしい側面も強い。特に竹中氏については異論反論が多く、悩んでいるw
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20130319#p2
とも註している*2小泉政権時代、少なくとも第一次小泉内閣時代は「リフレ派」とは鋭角的に対立していた筈なのだ*3